第472話 先史遺産の兵器の謎
「って事はつまり、あの兵器は戦えば戦う程俺達を学んで強くなっていくって事か?」
「ええ、その通りよ。つまり大本を叩かない限りここにある兵器は永遠に進化し続ける。でもその大本が一体何を原材料として兵器を作り出しているのか、それについては全く記載されていないわ」
八咫の問いかけに星峰は明快な回答を返すものの、最後の記載されていないという部分にはその場に居た全員が違和感を覚える。
「記載されていないってどういう事?ならあの兵器は一体何から作り出されているの?」
「それが記載されていないのよ。ここの住民でも分からない得体の知れない物で作られているのか、それとも重要ではない、又は逆に非常に重要な事である故に敢えて記載していないのか……考えられるのはそんな所だけど」
涙名の問いかけに星峰はそう返すものの、その回答は彼女自身が最も納得がいかないものであった。それは口調から容易に想像出来た。
「でも、ここに記載されているデータにあの技術に関するものはないわね。となると、あの技術は少なくともこの施設で製造された兵器には搭載されていないと言う事になる」
画面を見ながらそう呟く星峰に天之御が
「あの技術っていうのは?」
と問いかける。
「兵器に怨念を宿す技術よ。それは少なくともこの施設で生み出された兵器には搭載されていない」
星峰の返答した技術は最も意外な物であった。その技術はこの施設で生み出された、天之御を含め、その場に居た全員がその言葉を聞くまでそう思っていたからだ。その場に居た全員の顔が変わった事がそれを裏付けている。
「一寸待って、だったらあの兵器に怨念を宿す技術はどこで生み出されたの?それに……」
「空弧の疑問も言いたい事も最もだとは思うけど、ここに記載されているデータに音量を兵器に宿す技術は記載されていないわ。となると逆に生命側が怨霊に憑依する為にその技術を兵器に搭載した可能性も出てきたわね」
空弧の疑問に対しても的確に返答する星峰、だがその顔は彼女自身も又違和感を覚えている事を隠せていない。
「生命が兵器に怨霊として憑依する……一体何の為に?」
「元々は怨霊としてでなく、魂として憑依するつもりだったのかもしれないわね。そうすれば人としての思考を残しつつ、兵器としての力を手にすることが出来る。
そう考えればその目的もこの施設を守る為だったという説明がつくわ」
岬の抱いた疑問に対しても星峰は的確に返答する。その返答は確かに理論的ではあった。
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