第471話 自己進化の魔手
施設内であるが故に兵器の襲撃こそないものの、通路を移動する一同の顔と内心は緊張に満ちていた。それ程先程見た技術力には脅威を覚えていたのだ。
それでも足を止める訳には行かない、そう思って一同は通路を進んでいく。
するとその先に一つの扉を見つけ、早々に中に入って行く。するとそこも又稼働している生産ラインが見える部屋であった。
「この部屋も稼働している生産ラインが見えるね。けどここは……」
「うん、明らかにさっきとは違う。あそこにあるのは……」
涙名と天之御がそう告げると一同の視線は部屋の中心にある縦に長い機械に向けられる。その機械は天井から降りてきている様に設置されており、そこを通って兵器の母体が降りてきているように見える。
「あそこがこの生産ラインの始まりなのかな?でもここからじゃ……」
そういうと涙名は視線の途中にあるガラス張りに目を向ける。そのガラスを突き破れば近付く事は出来そうだがそれが逆に一同を躊躇わせる。
「ええ、あのガラスを破ったら最後、兵器に蜂の巣にされるかもしれないわね」
警戒心を隠さない口調でそう告げる星峰。だがその言葉は
「でも、もしかしたら近付く必要もないかもしれないわね」
と続けられる。その視線の先にはガラス張りの壁に面した部分に設置されている膨大な数の何かの機器が配置されていた。
その危機に近づくと最早お決まりの様に起動させ、操作し始める星峰、どうやらこれが目の前の危機を操作する為の物であると気付くのに時間はかからなかったようだ。
「で……どう?この機器に探し物はある?」
天之御がそう話すと星峰は
「起動したばかりなのに気が早いわね」
と軽口で返す。だがその軽口は逆に今の二人の関係性を物語っている重さが秘められている様にも思える。
そのまま機器を操作する星峰だが暫くするとその手の動きを止める。そして
「見つけたわ。あったわよ、私達のお目当てが」
と告げる。その声は冷静でありながら確かな自信も感じられ、それが事実であるのをその場に居る全員に暗黙の内に伝えていた。
「そうか。で、何が分かったの?」
天之御が早々に訪ねると星峰は
「まずあの塔の様な機械は予想通り母体を作り出している機器であり、それをベースに多様な兵器を作り出していると言う事。私の予想通り兵器のデータは此処に転送され、以降に製造される兵器の行動にフィードバックされている事。
そしてやはりその技術はこれまでの先史遺産を上回っている事。これらが確定事項よ」
と告げる。
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