第456話 満ち溢れる悪意
先に進んでいった後、先頭を歩いていた岬がふと足を止め
「皆さん……見て下さい、あれ……何でしょう?」
と唐突な発言をする。一同の前方には明らかに壁の様な物が遠目ではある物の映っていた。
「壁……だとしたらここが行き止まりと言う事か?」
八咫がそう口にすると星峰は
「かも知れないわね。と言っても、あの終着点に辿り着くにはまだまだ未知は長いみたいだけど」
と言って一同の足元を指差す。一行が立っていた高い丘から下を見渡すとそこにはこれまでに見た事の無い規模の広大な市街地が広がっていた。その中心には巨大な宮殿のような建物も見える。
「何なのコレ……街?それにしては規模が大きすぎる……もうこれは一つの国と言っていいレベルの大きさだよ」
そのあまりの規模に涙名は唖然とする。ブエルスと比較しても軽く数倍、或いは数十倍の規模の市街地だったからだ。
「さっきの兵器はここから出撃してきたのでしょうか?」
岬がそう疑問を呈すると天之御は
「そうかも知れないね。だとしたらここには何かあるのかもしれない。調べてみよう」
と告げる。最も、この状況ではそれ以外に選択肢は存在しないのだが。そして一行は市街地に入っていこうとするがその入り口部分には早くも兵器が待ち構えていた。
「市街地内に入っている訳でも無いのにもう兵器が迎撃態勢をとってきたの!?一体どうして……」
「さっき交戦した兵器が破壊されると迎撃態勢を整える様にプログラムされていたのかもね」
早くも迎撃態勢をとられている、その状況に困惑する空弧に対し、星峰は納得出来る理論を話す。それを聞いて空弧も
「確かにそう考えるのが一番合点が行くわね。そして……」
と返答し、直ちに交戦体制をとり
「弧妖術……刹那の黄土!!」
と言って下から砂煙を巻き上げ、それに兵器を巻き込んでその体に砂を入り込ませると同時に吹き飛ばし、地面に叩きつけてその動きを止める。だが兵器はその内部から例の靄を出し、尚も抵抗しようとする。
「!?この兵器も怨霊が……」
一瞬動揺した空弧は直ぐ様追撃態勢に入る。だがその直後、その靄は
「許さない……楽園を……」
と言う言葉を残して兵器が機能を停止すると同時に靄も消えていく。
「今の兵器の言葉……これまでの奴よりも明瞭に聞こえましたね」
空弧がそういうと一同は満場一致で頷く。実際先程の兵器の言語はこれまでの片言、雑音交じりではなく明確な声の形をとっていた。
「ここはそれだけ悪霊の影響が強いという事なのかもしれないね」
天之御はそう告げ、他の面々に警戒を促す。
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