第448話 道標の示す先
アンナースが部屋で一人愚痴を話している間、コンスタリオ小隊も又集合していた。当然その議題は今回の侵攻作戦である。
「全く持って腑に落ちませんね……」
シレットがそう言って口火を切ると
「全くだな、今回の侵攻には不自然な点が多くみられるぜ」
「最も、私達がそれに気付けたのは彼女のお陰なのだけど」
モイス、コンスタリオも思い思いにそれぞれ疑念を口に出す。
「今回の侵攻に対して彼女は一般兵士にはその情報が届いていないと愚痴を零していた。そして実際、私達が通信を受けた時点では私達以外には誰もその襲撃について把握してはいなかったわ」
「だがその後数時間で瞬く間に彼方此方に知れ渡った。どう考えても此れは不自然すぎるぜ」
コンスタリオの発言から今回の広まり方が不自然な形であると言うのは疑いようのない事実であった。そしてそれを受けたモイスも同意する。
「モイスもそう思うって事は、やっぱり何か引っかかってるの?」
シレットが質問するとモイスは
「ああ、これだけ急速に広まったって事が偶然起こったとは思えねえ。そうしなきゃいけねえ理由が何かあったのか、それとも……」
「どこかから情報が漏れたのか……どちらにしても良い話ではないわね」
険しい顔で返答し、その顔と返答はコンスタリオも続く。それ程今回の一件は疑問が大きい。
「この急速な広まりもスターが言っていた戦乱の裏の存在と関係しているのでしょうか?」
「もしそうだとするなら、この一件を密かに調べていく事がそれを知る手掛かりになるかもな」
シレットの疑問に対するモイスの返答は一見すると軽いようだが、実際はその内心に強い疑念を抱いていた。それを察したのか、コンスタリオも
「そうかもしれないわね。そして、それを追跡する事が結果的にスターとの再会への道標になるのかもしれない」
と続ける。その顔は真剣そのものであり、それが彼女の発言は本気である事を頷かせる。だが一方で
「だけど、だけどもし、彼女がそれ以外の目的てあの通信を送ってきたのだとしたら、私あ血に侵攻作戦を教えるのが目的だったとしたら……いえ、そんな事をして何の得があるのかしらね」
と少なからず通信を送ってきた彼女に対する疑念も抱いていた。
「それにしても……八米街には一体何があるんでしょう?」
不意にシレットが発したこの言葉にモイスとコンスタリオは面食らう。思いもよらぬ一言だったからだ。
「言われてみれば、確かにその通りだな」
だがモイスは直ぐに納得した様子を見せる。
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