第414話 静寂なる社会
唖然としていても仕方ないと思ったコンスタリオ小隊は都市の中を歩き始めるがそこには生命は疎か、遺跡であれば存在しているであろう迎撃兵器の姿すら見えない。
只不気味な静寂が広がっているだけであった。
「一体何なんでしょう、ここは……只の都市と言う訳ではどう考えても無いと思いますが……」
シレットが恐る恐るそう口にするとコンスタリオは
「ええ、でも家やお店はある。少なくとも嘗てここに生命が存在していた事は間違いないわ。食料栽培も行われている」
コンスタリオの言う通り、この都市の中には食糧生産場所も存在していた。未知なる場所故か、コンスタリオの観察も何時も以上に強い物になる。普段のコンスタリオであればうっかり見落としてしまう程に些細な場所に存在していた為だ。
「先程現れた人族や魔人族も元はここに住んでいたのか?」
都市を見学している最中、ふとモイスがそう呟く。するとシレットは
「それはそうかもしれないけど……だったらどうしてこの都市の中に戦闘の形跡がないの?人族と魔人族が居るのであれば……」
と返答する。それを聞いてコンスタリオは
「それはもしかしたら……」
と言いかけるが直後にシレットが
「人族と魔人族が出会ったのであればそこで戦いが起きる。これはほぼ決定事項も同然の事実であるはずでしょう。それが無いって事は、一方は外から侵入してきたんじゃない?」
と話し、それを聞いたモイスとアンナースが頷いて納得してしまったのを見て喉まで出かかっていた言葉を飲み込む。
「人族と魔人族が共生していたかもしれない……とは考えられないか……無理もないわね。私もどこかで信じ切れていない物。そもそもどうしてこんな考えが浮かんできたのか……やっぱり先日のスターの言葉なの?」
コンスタリオが言葉を呑み込んだのは現状、只でさえ見た事もない光景に動揺しているのにこれ以上動揺させたくないという思いもあったからだ。だがその内心ではやはり疑念が消え切らない。先日のスターの文章、戦争に裏があるという一文が尾を引いているのだ。
「ねえ、あそこに何か見えますよ」
アンナースがそういって何処かを指差すとその先には大型施設と思わしき建物が立っていた。恐らくは暗にそこに向かった方が良いと示しているのだろう。それを察したのかコンスタリオは
「そうね、行ってみましょう」
と言い、その建物に向かう事を告げる。モイスとシレットも異論を挟む事は無く、一同はその建物の入り口へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます