第413話 機械都市

空気と同様、内心にも晴れない疑念を抱いたままコンスタリオ小隊は先へと進んでいく。幸いにも先程以降襲撃、交戦は無く比較的スムーズに進む事が出来ていた。

だがそれも途中、大広間の様な場所に出た瞬間に終わりを告げる。そこで先程と同じ黒い靄が幾つも発生し、再び実態を持ってきたからだ。


「又……来ましたね」


シレットがそういうとコンスタリオ小隊は迎撃態勢を取る。だが今回は人族だけでなく魔神族の姿でも靄は実体化してくる。それを見たモイスは


「今回は魔神族の姿でも実体化してきたか……それが出来る理由は分かんねえが、兎に角やるしかねえ!!」


と言って銃を手に構える。魔神族の姿を見たという事で戦意高揚しているのだろうか。その靄はそれぞれ槍や銃、剣等を手に持ち、コンスタリオ小隊に襲い掛かって来る。最初の一斉攻撃を躱すとコンスタリオ小隊は分散し、コンスタリオは魔法を絡めた格闘で、シレットは雷の魔法で、モイスとアンナースはそれぞれ銃で靄で実体化した人族、魔人族を退けていく。全てを退け終えるとシレットは


「今度は魔人族まで……一体ここはどんな場所なのでしょう?」

「それを知る為にも奥に進むしかねえな」


シレットの疑問に対するモイスの発言は反論の使用が無い正論であった。知る為には進むしかない。それを決めるとコンスタリオ小隊は更に奥へと進んでいく。その途中で徐々に周囲の壁が遺跡のような岩作りから明らかに機械的な施設の様な壁に変わっていく。それを見て


「壁が機械的に……この先はどこかの施設か何かなのでしょうか?」


とアンナースが告げるとコンスタリオは


「その可能性もあるわね。そしてそうであるなら、その施設はこの淀んだ空気の実験場、或いは研究施設である可能性もあるわ」


と続ける。


「こんな物を研究して何をしようって言うんだ?」


モイスがそう口にすると


「碌でもない事なのは間違いなさそうだけど」


とシレットも続ける。そんな話をしている内にその奥から続いている場所に出る。だがその光景を見てコンスタリオ小隊は唖然とする。そこには想像していたような施設ではなく、先程まで居た遺跡に勝るとも劣らない大規模な機械的都市が広がっていたからだ。


「何なのコレ……機械で出来た街だとでもいうの……」


余りの光景に唖然とするシレット。


「こんな風景は私も初めて見ます……」


とアンナースも続ける。アンナースも初めて見るという光景にモイスやコンスタリオが見覚えがある筈が無く、只唖然とせざるを得なかった。

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