第405話 狙われる理由

「ブントがこの街を狙う理由が判明したのですか?」


豊雲が更にそう問いかけると天之御は


「まだはっきりこれだ理由だと言い切る事は出来ない。でもある程度の可能性は絞り込む事が出来た。まずこの街についてなんだけど一つ認識を改めて欲しい事がある。

この街は元々から僕達の協力者の様に認識されているけど実際はそうじゃなかった。元々はブント側の街だったんだ」


と告げる。その発言に星峰以外の面々は困惑を隠せない。声に出さずともそれは明らかであった。それぞれが顔を見合い、その驚き様を確認する。


「これは私が見つけた資料から知った事なんだけど、この街は元々ブント側だった。所が何らかの理由で内乱が起き、その結果として現在の魔王軍、つまり天之御達に協力することになったと書かれていたの。只、その原因が何だったのかについては一切の記述がなされていなかったから分からないわ」


星峰がそう続けると他の面々は驚いた顔を続けつつも先程星峰だけが困惑していなかった事には納得する。初めから知っていたのであれば動揺しないのも当然である。最も、資料を見つけた際には動揺したのかもしれないが、それを確認する術も無いので一同は敢えてその事には触れず、話をそのまま聞き続けようとする。


「だけどブント協力時代に残された負の遺産は未だこの街に存在し続けている。それも場合によってはまだ稼働した状態でね」


星峰がそこまで言うと涙名が


「つまり、その負の遺産を狙っているかもしれないって事だね」


と続け、それを聞いた天之御は


「その通りだよ。そして仮にそうだった場合、それが万が一現実になった場合の危険度は先史遺産より高いかもしれない」


と続ける。先史遺産より高い、その言葉を聞き先程までの驚いた顔から険しさを表に出した顔へと変わる。


「先史遺産より高い?それはどういう……」


恐る恐るな声を出し、岬が天之御に訪ねる。天之御の言葉を恐れている訳ではない。漠然と理解してはいるものの、その真意を完全に測りあぐねているが故に恐る恐るな声になってしまうのだ。それを察したのか、天之御の返答は


「太古の遺産であるならその技術は一度は手にしていた筈。にも拘らずここにきてその奪還を目論んでいるのならその技術は相当危険かもしれないって事さ。勿論、これは仮説にすぎないけどね」


と疑問に真っ正面から答える物であった。それを聞き岬は納得したと同時に警戒心を新たにする。


「そして、その可能性がある場所の一つが既に特定されているの」


星峰はそういうと妖術で地図を出現させ、その場所を示す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る