第376話 全てを作り出す為に
「これまで全く見た事が無い兵器が量産されているだけでなく、そのバリエーションも生産可能な施設、これは下手をすると相当な脅威になるかもしれないわね」
空弧が撃ち漏らした兵器を攻撃、破壊しつつ星峰はそう呟く。敵を圧倒しているがその口調に余裕は感じられない。相当な脅威に感じているのだろう。その考えは他の面々も容易に想像出来た。それでも何とかその場を突破し、通路の更に奥へと進んでいく。すると今度はとてつもなく広い空間に出る。
「何なのこれ……ただ通路を走って来ただけなのにこんな広い空間に出るなんて……」
余りの雰囲気の違いに唖然とする岬、部屋の扉もなく、直接つながっているという状況がよりその特異性を物語っていた。そして周囲を見渡すと明らかにそこは何かを作り、そして保管する場所であった。だが先程の食糧とは違う、かと言って兵器でもない。それはその場所が既に稼働していない事が物語っていた。
「ここも何かの生産場所の様ですね。先程の植物とは違い、もう既に起動していないようですが」
空弧がそう語ると星峰は早速周囲を見渡し、近くにあった端末から情報を得られないか調べ始める。すると
「一寸……何これ?」
と思わず素っ頓狂な星峰らしくない声が上がる。その声に他の面々も思わず
「えっ!?どうしたの星峰、そんな声を出して……」
と声の事を言わずにはいられなかった。それだけ今の星峰の声が普段の彼女からは考えられないものだったのだ。そしてその声のまま星峰の元に近づいていき
「一体どうしたんだ?」
と八咫が代表して星峰に問いかける。すると星峰は
「見てこれ、ここで作られていたとされる物のリストなんだけど……」
と言い、そのリストを見せる。そのリストを見た他の面々は
「えっ!?此れって……」
と思わずリストが表示されている画面を覗き込む。そこには服や家財道具等地上世界の生活でも使われており、且つその性能も勝るとも劣らないレベルの物が上から下までびっしりと書き綴られていた。そのリストを見た涙名は
「本当に何これだね……まるでここでずっと生活していたみたいだ。でも……」
「うん、そんなことが本当に出来るのかなんて……」
と星峰共々疑念を口と顔に出す。
「作り出せるのなら出来るんじゃねえのか?ここでずっと暮らすことも」
八咫はそう口にするが涙名は
「商品上はね。でもその商品の原材料となる物質をどこから調達してきたのか、その点が疑問として残るよ。まさかそれらまでこの施設内で作り出しているなんて、幾等先史遺産でも無茶苦茶すぎる」
と八咫の疑問に真っ向から返答する。
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