第349話 目覚めさせてはならなかった物
天之御達が転移した先には目の前に巨大な兵器が存在、且つ起動しており、周囲を無差別に攻撃していた。嵐の如く荒れ狂うその攻撃は先程の爆発がその兵器のせいであると軍隊に入ったばかりの新米兵士ですらそう認識出来る程露骨な物であった。無差別に暴れ回るその姿は最早脅威という段階を通り越して禍々しさすら感じさせる。
「これが……ここに眠っている厄災ともいえる存在だね」
兵器を睨む様な目つきでそう語る天之御、その言葉に
「ええ、この兵器はブントの手に落ちる落ちないの問題ではない、存在自体、させておくわけにはいかない!!」
と強い口調で語る星峰の言葉が続く。どうやら彼等が此処に転移したのはこの兵器を破壊する為の様だ。天之御達を認識したのか、兵器の攻撃の対象は天之御達が居る場所に向いてくる。
「やらせるものですか!!」
岬が先陣を切り、自分達に向けられていた銃口を蹴り上げて発射角度をずらし、弾を空振りさせる。だがその結果に岬は
「!!破壊を狙っていたのに出来なかった!?くっ、なんて装甲……」
と同様と焦燥を感じる。そのまま続けてかかと落としを繰り出しほぼ同じ場所に直撃させるがそれでも破壊には至らない。そして兵器はそのまま突進し岬を跳ね飛ばそうとする。手の防御が辛うじて間に合い、ポイントをずらして受け身を取る事は出来たものの、それでも地面に引きずった跡が明確に残る凄まじい衝撃であった。
「岬、大丈夫!?」
空弧が駆け寄り、受け身を取ったその身を支えると岬は
「ええ、何とかね。でもあの兵器の装甲は相当な物よ。動力源を破壊するにしてもどこか一ヶ所に穴を開けないとどうにも……」
と大丈夫である事を伝えつつもその声には確実に焦りが混じっていた。
「これは手強そうな相手だね……それに敵はこいつだけじゃない、人族部隊もこっちに向かってるし、他にも兵器だっている。あまり時間はかけられないよ!!」
そう涙名が話した次の瞬間、兵器は体の中心部分にエネルギーを集中させる。そしてそれが終わったかと思うとそこからビームを放ち、周囲を薙ぎ払う様に回転させる。
「狐妖術 白銀の魔鏡!!」
星峰が咄嗟にそれを発動させた事で直撃を避ける事には成功し、更に跳ね返したビームでダメージを与える事には成功する。だがビームが当たった場所はほんの数秒で全てが蒸発してしまうような、それ程までに何もなくなってしまっていた。
「あんな物が……生命の居る場所に放たれたら……」
その光景に一行は唖然とし、そして恐怖と決意を覚える。
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