第348話 埋められない差

そこから星峰はコンスタリオに対し、猛撃をかけ、コンスタリオはそれを避け続けるので精一杯になってしまう。だがその様子を見た星峰は


「妙だわ。何時もの彼女なら必ずこちらの隙を伺って反撃してくる筈……もしかして、さっきのあれで……」


とその動きに違和感を覚える。星峰の予測通り、コンスタリオの内心は先程生じた疑念によって揺らぎ、その動きには明らかに乱れが生じていた。


「くっ、今はここを切り抜けるのが先決なのに……」


そう自分に言い聞かせれば言い聞かせる程疑念が絶える事無く浮かんでくる。そしてそれにより動きにも精細さを欠いてしまい、星峰の猛攻に押されていく。だがそんな彼女の様子を見た星峰に余裕は見られず、寧ろ逆に警戒心を強めてすらいる様に見える。やはり嘗ての同胞であるが故なのだろうか。

その後も天之御達とコンスタリオ小隊の戦いは続くが戦況は明らかに天之御達に優位に流れていた。コンスタリオが精神の乱れからか的確な指示を出せず、更に経験や能力の差もあり、それらの差がコンスタリオ小隊を確実に追い詰めていく。


「くっ、このままでは全滅なの……この状況を打開するには!!」


アンナースはそう叫ぶと迫って来る涙名から距離を取り、手にした二丁拳銃を天之御

に向けて乱射する。だが天之御はその乱射の全てをいとも容易く躱し、更に


「魔王妖術……表裏の祝福!!」


と言ってその場に薄黒い闇を放つ。その闇に当たったコンスタリオ小隊は跳ね飛ばされ、反対に星峯達はその闇を体に浸透させる。


「な、何なの今の……」


跳ね飛ばされて転倒した状態からコンスタリオが立ち上がりそう呟く。如何やら先程の攻撃は致命傷とまでは行かなかったようだ。だがそれ以上に衝撃的だったのは目の前の攻撃だった。少ないながらもダメージは受けて居た筈の星峰達の傷が癒えていたからだ。


「傷が……回復している!?」


その光景に驚いたアンナースがそう声を上げるとコンスタリオ小隊の内心は一気に絶望へと染まる。このままでは勝機は無い、そう考えざるを得ないからだ。だがその直後施設の外、それもかなり距離の離れた場所からガラガラと何かが崩れる音がする。

それを聞いた天之御が


「!?今の音は……もしかしたら来たかもしれないね」


と呟くと星峰は


「ええ、行きましょう!!」


と続け、そのまま一行は転移妖術でどこかへと転移する。


「ま……待ちなさい……」


コンスタリオがそう呟く前に天之御達はどこかへと転移していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る