第336話 モイスの真価

「もし、その目的が現在向かっている場所にあるのだとすればもう完全に後手に回ってしまう……だけどその先、つまり兵器の目的が足止めなら今から移動すれば間に合うかもしれない」


涙名の動揺を一喝するように天之御がそう答えると涙名は


「確かにそうかも……なら!!」

「ええ、行きましょう!!」


動揺から落ち着いた天之御と星峰がそう語ると一同は部屋を飛び出し、その目的地へと急ぐ。一方、その問題の兵器が集結している場所、つまり兵器が集まっている場所では人族部隊と兵器が交戦していた。そして祖jの人族部隊の中心となっているのはコンスタリオ小隊だった。


「さっき現れたこの新型兵器……明らかにこれまでの兵器を全ての面で上回っている……それだけ守るべきものがこの先にあるというの?」


これまでよりも強力な兵器が突如として目の前に立ち塞がる。その状況に危機感と同時に疑念をコンスタリオは覚えた。だがそれを確認する時間が与えられる筈も無く、兵器は人族部隊に攻撃を仕掛けていく。


「このままじゃ、兵器に押し返されます。せめてもう少し数を減らさないと……」

「分かっているわ。でもその為には……」


シレットが告げた事実は既に把握しているものの、それを打開する決定的な手を打てずにいるコンスタリオ、するとその直後


「なら私が隙を作ってあげる!!」


と言ってライフル銃を構え、新型兵器の接合部分を撃ち抜いて破壊し、その動きを一体だけだが停止させる。


「何度見ても凄いな……」

「そういう風に言ってくれるのは嬉しくはあるけど、今はそれどころじゃないでしょ!!」


感心した様に見入るモイスにアンナースは発破をかける。それを受けたのかモイスは


「ああ、そうだな!!そうこないとな!!」


と言って両手に銃を持って兵器の密集地帯内に飛び込んでいき


「アイアン・バレット!!」


というと銃から貫通力の強い弾丸を放ち、兵器を次々と討ちぬいていく。それが終わると兵器は全ての機能を停止させるがモイスも又体制を崩し、肩で息をしている。恐らく体力を大幅に消耗したのだろう。見た目からそれは容易に判断出来た。


「モイス、大丈夫なの?」


シレットは慌てて駆け寄り、肩で息をするモイスに心配の声をかける。するとモイスは


「あ、ああ、大丈夫だ。それより……」


と言って破壊した兵器を確認するかのように周囲を見渡す。

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