第243話 過去より来る呪い

「そのような事があったのですか……そして、ワンカーポの住民は」

「ブントの構成員どころかブントによって作り出されていた。そうだとすればあの機械的な動きも納得がいくね。恐らく元からそう行動する様に仕込まれていたんだから」


豊雲との会話ではあくまで淡々と話すが、一同の内心には確実に怒りと動揺が渦巻いていた。一つの街の住民を作り出す程の技術をブントが持っているという事が分かったからだ。だがその事実は同時に一同の中に重くのしかかる。


「それで、今後はどうなさるおつもりですか?」


豊雲が天之御に問いかける。その問いかけに対し天之御は


「ここの監視と調査は引き続き任せるよ。僕達は先史遺産を抑える」


と返答する。


「先史遺産を?それはどういうことなのです?」


天之御の返答に更なる疑問を続ける豊雲、それに対し天之御は


「まだ確証は持てないけどあの兵器や作り出された人族には先史遺産の技術が使われている気がするんだ。そして全面的にブントがその技術を使用していないのだとすれば、それは東と西の派閥抗争が原因だと思う」

「その可能性はありますね。派閥抗争があるなら相手より少しでも優位に立ちたいでしょうし、そのために技術を持っている事を隠していた可能性はあります」

「そうだとしたら他の大陸のブントはまだこの技術を手に入れていない可能性がある。だから可能であればそれよりも早く僕達がこの技術を抑える。それが現時点における最善の行動だと思う」


涙名の発言も後押しとなり、豊雲も納得した様子を見せる。


「分かりました。その後押しになるか分かりませんが一つ、お伝えしておきます。ここのデータを調べる仮定で分かったのですが、どうやら嘗て先代魔王様が救った秘密基地の面々の故郷、そこを襲撃したのはワンカーポのブントの様です」


納得した様子のままそう告げる豊雲、それを聞いた天之御は


「……分かった。覚えておくよ」


とだけ告げ、転移妖術で豊雲以外の一同をブエルスへと戻す。そしてブエルスに戻ると早々に


「で、どうするつもりなの?」


と星峰が天之御に問いかける。

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