第236話 惨劇の前章
切り裂き、残骸となった兵器を確認した豊雲は近くで蹲っていた兵士に
「一体何があったんだ?」
と事情の説明を求める。すると兵士は
「このエリアを調査していたらいきなりあの兵器が現れて、不意を突かれた兵士が負傷しました……かくいう私も不覚ですが……」
と傷口を抑えながら言う。如何やら命に別状はないようだが、それでも怪我は決して軽くないのは見た目にも明らかだった。豊雲はそれを確認すると
「分かった、負傷した兵は一旦ここから離脱し救護を受けろ。来た兵士は負傷者の救護を行え」
とその場に居た兵士に指示を出す。
「隊長はどうされるおつもりですか?」
兵士の一人が問いかける。
「全員の救護が終わるまで兵器の第二波に備える。これで終わっては……いないようだからな!!」
豊雲が言い終わる前に目の前から先程と同じ兵器が幾つも現れる。それを確認した豊雲は槍を片手に兵器の集団に飛び込み、見事な槍さばきで兵器を破壊していく。その傍らで兵士が次々と運ばれていくのを確認しながら。
「ここ以外に兵士が居る場所は?」
槍を振るい、兵器を破壊しながら豊雲が近くの負傷兵に問いかける、その負傷兵は
「ここに居る面々で全員です……兵器が直ぐに出現した為、奥に進んだ兵士は居ません。それを幸いと言うのか、そうでないのかは……」
「それ以上は後で話してくれればいい。今は状況の確認だけを優先しろ」
豊雲の言葉には厳しくも激が入っていた。それを受けた兵士は
「現状で言えるのは以上です。それ以外の事は何も……」
と言葉を続ける、それ以上の言葉が無い事はそれが事実であることを意味していた。それを察した豊雲は
「分かった」
とだけ返答し槍で兵器の破壊を続ける。そして全ての兵器を破壊し、兵士の救護を確認すると最後に来た道を引き返し、その扉を施錠して
「青色障壁!!」
と言って扉を青い膜で包む。
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