第235話 いないはずの場所で

「はい。ですが同時にブントが首都一つを丸々支配下に置くほど影響力を持つ組織だと言う事も改めて分かりました。その点を踏まえて……」


豊雲がそう言いかけた次の瞬間、豊雲がいる部屋の扉がバタンと激しく音を立てて開く。その音に豊雲が反応するよりも早く


「豊雲隊長!!」


という兵士の大声が部屋に響き渡る。それもただ大きいだけではない、明らかに焦りが感じられる声であった。


「どうしたんだ!?」


豊雲もそれに釣られてしまったのか、問い返す声の大きさが明らかに大きくなる。だがそんなことを気にしている時間はないのか、其れとも気付かなかったのか兵士は


「調査を続行していたら地下施設において突如人型の機械が多数出現し、そのエリアで調査にあたっていた兵士数名を攻撃してきました。既に負傷者も出ています!!」


と起こった事を告げる。それを聞いた豊雲は


「な、何っ!?」


と困惑した表情を若干ではあるが浮かべる。だが直ぐに隊長としての顔つきになり


「分かった、直ぐに向かう。天之御様、又後で詳細をお伝えいたします」


と言って通信を切り、急いでその現場となった地下施設に向かう。そこには報告に合った通り人型の機械兵器が多数歩き回っており、その全身に装備された火器を乱射していた、一方でその火器が被弾し、負傷したと思われる魔神族の兵士が所々で蹲っている。


「こ、これは……」


既にブントが居ないはずの場所でこのような事態にになった事に唖然とする豊雲、だが兵器の火器が自分を標的にしたと察すると素早く槍を手に取り


「赤色旋風!!」


と言って素早く赤色の風を巻き起こし、その風を兵器に飛ばしてその身を風で切り裂く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る