第214話 岬の心

その眼光は鋭く、怒り、いや憎しみが秘められていると言っていい状態であった。だがそれに気づいたのか天之御は


「岬!!」


と敢えて大声を出し、岬の気を自分に向けさせようと試みる。同時に、それは岬への叱責でもあった。その大声に驚いたのか、気付いたのか、岬ははっとなって天之御

の方を向く。


「天之御……様、ご無事で何よりです」


天之御に声をかける岬だが、その声は何処かたどたどしい。先程までの自分を見られていたが故なのだろう。そこに他の面々も駆け寄ってくる。


「岬、一体何があったの、それにあの兵器は……」


星峰が問いかけると岬は


「あの光に照らされた後、天之御様や皆の姿は個々から消えていました。そしてその直後にあの宝玉からあの兵器が、あの忌まわしい兵器が出現したんです」


と説明するが、その口調には強い何かが混ざっていた。


「忌まわしい兵器って、あの兵器が一体どうしたの!?」


空弧が問いかけると岬は


「あの兵器は私の故郷を、家族や友達を奪った兵器なんです!!」


と強く、同時に涙を零しながらその胸中を吐露する。その時、他の面々の頭の中には先程までいた世界で燃える街、泣き崩れる岬の光景が浮かんでいた。


「じゃあ、まさかあの光景の……ですが、一体何故それがあの宝玉から……」


豊雲がそう呟くと星峰は


「狐妖術……青天の真実!!」


と言い、宝玉に向けて手にした剣の宝石部分から空に近い純粋な青い光を放ち宝玉に当てる。

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