第207話 魔王の来訪
そんな引っ掛かりを残しつつも天之御の先導により星峰、涙名も街の中に入っていく。すると中に入った瞬間、街中からどよめきの声が上がり、その場に居た住民の視線が一斉に天之御の方に向く。最も、仮にも魔王と呼ばれる存在が事前の通達もなしにいきなり来たのだから無理もない反応ではあった。そんなどよめきの中でも天之御
達は堂々と進んでいく。その行き先は駐在部隊の指令基地であった。
基地の目の間絵に着くと天之御は
「魔王天之御だよ。突然の来訪で申し訳ないけど指令との面会を希望出来るかな?」
と門番の兵士に告げる。その言葉を聞いた兵士は
「ま、魔王様!?指令との面会ですか!?も、勿論出来ますとも!!少々お待ち下さい!!」
と言い、通信機を手に取る。だがその様子からあたふたしているのは明白であった。それは魔王が目の前に現れた事による動揺なのか、それとも……
「指令からお達しです。基地内部の応接室に案内しますのでそこで待機して頂きたいと」
通信機を置いた兵士はそう告げる。その様子は動揺している内心を何とか平常心で押さえようとしてる様にしか見えない。明らかな動揺をしているのは明白であった。
「分かった。そのような要請ならそちらの指示に従うよ」
天之御はその提案を受け入れ、兵士の案内の元応接室へと案内される。その案内を受け、応接室に入る一同。
「……妙ね」
「ええ、此れは何かしている、或いはしてくるかもしれないわね」
応接室に入った直後、星峰と空弧が声を揃え、続けて語る。それを聞いた豊雲が
「何が妙なのですか?」
と聞くと天之御が
「僕達を応接室に通した事が……でしょう」
と二人に変わって返答し、二人はその回答に首を縦に振る。
「客人を応接室に通すのは当然の行動では?」
確かに豊雲の言う通りではあり、それに対して疑問を抱く余地は無い様に思える、だが星峰は
「通常であれば……ね。でも自分達の総司令官にまでそれをするかしら?むしろ指令室に来てもらってアピールする方が余程効果的なアピールになると考える方が出世欲の強い連中なら考える事よ」
と言い、この大陸の街の気質と矛盾する事を指摘する。
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