第178話 これまでよりも明らかな事

「内乱……」


その言葉に強く反応する一同。今も争いが続く世界に生きる者としてはその反応は致し方ない部分もあった。


「確かにそう考えるとこの街の軍事施設が円形に建設されているのも納得がいきます。恐らくは外敵から身を守る為、又は封じ込める為にそう配置しているのでしょう」


先程のデータから一つの仮説を立てる星峰、周囲もそれに概ね賛同するが、ただ一ヶ所、最後の封じ込めるという部分だけはその場に居た全員が違和感を覚えた。


「いや、封じ込めるって……そうだとするならどうして敵から商品を購入してるんだ?そんな事をすれば敵に付け入る隙を与える事になるぞ」


八咫が代表して突っ込むが星峰は


「確かにそうだけど、ブントの様に利権に取りつかれた連中が仮に居たとしたらあり得ない話じゃないわ。そういう連中は利益の為なら何でもやらかすでしょうし」


と冷静に仮説を続ける。その説明を聞き、


「まあ、確かにその可能性はあるけど……」


と一応の納得を見せはする空弧、だがその内心にはまだ引っ掛かりがある様子だ。


「そうね……私自身、何を言っているんだろうって少し思っているわ。やっぱり内乱と聞いてブントを意識してるのかしら?」


その空気を察したのか、星峰自身も少し自虐的に呟く。その言葉通り、星峰だけでなくその場の全員が内乱という言葉からブントを意識してしまっていた。星峰の仮説の末文もそれ故に出てきたものである。


「まあ、今ここでそれを話していても仕方無い。それよりも先に進もう」


天之御のその言葉で一同は会話を止め、その足を施設の中に向けて歩き始める。そして中に入ると入り口付近で早くも迎撃用の兵器が現れる。


「くっ、亡霊との交戦で兵器に出撃させる時間を与えてしまったの!?」


狼狽える岬に涙名は


「落ち着いて!!まだ兵器が出てきただけだよ」


と言い、平常心を保つ様に告げる。その直後兵器が一同に対し機関銃を乱射して攻撃を仕掛けてくる。一同は何とかそれを躱すが兵器はそのまま機関銃の向きを変えて追撃しようとしてくる。それを見た八咫が


「黒羽の閃闇!!」


と言って先に羽から黒いビームを放ち、それを兵器に当てて破壊する。それを確認した涙名は


「今の兵器の攻撃、明らかにこれまで交戦してきた兵器より……」


と恐ろし気に呟き、それに続けて空弧が


「ええ、格上ね。それに思考パターンも」


と呟く。そう、一同が今交戦した兵器の攻撃命中精度、思考パターン、攻撃の威力は明らかにこれまで交戦してきた兵器を上回っていた。それがこの場所の恐ろしさを物語っている、少なくとも一同にはそう思えた。


「あれが敵の手に落ちたら厄介だね……兎に角、まずはセオリー通りに行こう」


天之御はそう告げると自身が言うセオリー、データルームの捜索を開始する。


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