第175話 生み出される物
「ここは如何やら何かの工場の様ですね」
入った瞬間に岬がそう呟く。岬の言う通りそこはベルトコンベアや大小様々な機械の部品等が置いてあり、更に広い空間から何かの工場である事は容易に推測出来た。だがそこで作られているのが家庭用の機器なのか、それとも兵器なのかどうかはまだ分からなかった。そのまま奥に進んでいくと一同はそこで大きなモニターが設置され、様々な機器が置いてある大きな部屋を見つける。
「このモニター……それにこの機器の数、もしかしてここは管理室なのではないでしょうか?」
空弧がそう言うと天之御は
「そうかも知れないね。調べてみよう」
そう言って機器のスイッチを入れ、モニターを初めとして起動させる。すると空弧の予想通り、その部屋は管制室らしくモニターに工場内の至る所の映像が映し出される。その時
「ここが管制室と言う事は、もしかしたら」
と星峯が呟き、機器を操作して何かをしようとする。それを見た八咫が
「どうしたんだ星峯?急に機器を操作し始めて」
とその行動の意味を聞くと星峯は
「この部屋が管制室なら工場内のデータも管理しているんじゃないかと思ってね。それを調べればここがどんな工場なのか分かるかも知れない」
とその真意を説明する。だが殆どの製品データにはパスワードが設定されており、調べる事が出来ない。
「やっぱりパスワードは設定されているわね……そう簡単には行かないか。でも、こっちも諦める訳には行かないのよね」
星峯はそういうと諦めずにデータを調べ続ける。すると数少ないパスワードが設定されていないデータに辿り着く事が出来た。それは商品画像のデータであった。画像に表示されている商品は先程一同が入った建物にも置かれていた機器であり、この工場が日常製品の製造工場であった事を確認するには十分な材料であった。
「ここはどうやら日常製品を作っている工場の様だな。だったら長居は」
と八咫は次の場所に向かう様に促そうとするが星峯は
「確かに長居はする必要は無いけど、無駄ではないわよ。これも見て、商品画像のデータとセットでこんな物もあったの」
と言い、モニターにあるデータを表示する。それは見た所は地図の様だった。
「何?このデータ?」
「この工場で作られた商品の納品先を地図上で表しているのよ。これでスムーズな対応が出来る様にしてたって訳ね。そして、これを使えば」
「成程、この世界で迷わずに済むって訳か」
地図データを入手出来、これからの探索が捗る。星峯はそれを伝えたかったのだ。
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