第168話 霊諍の呼び出し

秘密基地にやってきた一同は早速現地の技術者たちに出迎えられる。星峰と涙名は二度目の来訪となるが物々しく独特な空気がある為かまだ慣れる事は出来ない様だ。二人が空気に困惑する中、霊諍が現れる。


「天之御様、正当な手続きを踏まぬ申し出を出し、且つ受けて下さった事、謝罪すると共に感謝致します」

「構わないって。君達は軍属じゃないんだから手続きの不備はないよ。それに君はそれを分かっていない訳がない。それを分かっていて連絡を取ってきたという事はそれだけの事が起こっていると言う事だろう」


二つの意味で頭を下げる霊諍に対し構わないと頭を挙げる様に動作する天之御、それで納得がいったのかいっていないのか分からないが霊諍は


「ありがとうございます。では本題に入りましょう、ついて来て下さい」


と言い、一同を何処かへと案内する。その案内に従った先にあったのは大きなモニターがあり、そこに様々な情報、映像が映し出されている部屋であった。今まで見た事の無い光景に困惑する星峰と涙名は部屋を落ち着きなく見渡す。これまで見てきた部屋は魔神族も人族もさして大きな違いは無かった。それだけにこの雰囲気の違いは何とも言い難い物であった。そして目の前の椅子に座ると霊諍は


「今回皆様をお呼びした県ですが、まずは此方を見て下さい」


と言い、椅子の前の機器を操作する。すると前のモニターに何やら色々データが表示される。


「これは?見た所何かのデータの解析結果の様だけど」


岬がそう質問すると霊諍は


「はい、これは皆さんが先日から交戦している新型移動車の光学迷彩に関するデータです。これまで得られたデータから解析してみたのですが、やはりこれは先史遺産の技術を用いている可能性が高いですね。

ですが今回お呼びしたのはその点ではありません」


と告げる。その最後の言葉に当然の様に引っ掛かりを覚えた八咫は


「じゃあ、何の為に呼び出したんだ?」


と質問する。それを聞いた霊諍は


「私達はこの技術がどこの先史遺産からもたらされたものなのか、現存する資料等から調査してみました。当初は当然東の大陸にある先史遺産からもたらされたと思ったのですが、実際は東の大陸からではなく、私達の故郷の先史遺産からもたらされたものであるという事が判明しました」


と今回呼び出した理由を告げる。

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