第159話 束の間の笑顔
「え……えええっ!?」
普段の様子からはとても想像出来ない大声を上げ、その表情にも明らかに驚きが見える。そんな星峰の様子に周囲は思わず吹き出し始める。
「うっっ、ふふ、ははっ」
その笑い声に星峰は一瞬不機嫌な顔を見せるものの、直ぐに何時も通りの顔に戻そうとするが、周囲の笑い声に釣られたのか自身も笑ってしまう。
「そうよね、それが一番効果的な戦略だものね!!でもまさか密かに実行さえるなんて、流石に思わなかったわ。で、その偵察員は上手く入り込めているの?」
笑いながらも納得したという風潮の返答を何とか返す星峰、だが最後の方には徐々に何時もの冷静、真剣さが戻っていた。するとそれを察したのか、涙名が
「うん、既に連絡も入ってる。星峰が入手してくれた情報と照らし合わせてもワンカーポが人の生きた心地がしない街というのは間違いなさそうだよ。
そして、故に付け入る隙があるともいえるし無いともいえる、ただ、機密情報については期待出来ないね。制圧後に調べた方が早いと思う」
と現時点での報告を纏める。
「それはどういう事なんです?」
そう聞いたのは岬だった。どうやら彼女も詳細は聞かされていなかったようだ。それは岬だけではなく、涙名以外の面々も同様だった。そんな様子を察したのか、涙名は
「偵察員からの情報ですが、情報の入手を試みようとした所開発のために共有される情報ですらかなり厳重な防衛がされていると言う事です。加えてあの街の状態、人伝での入手は猶の事期待出来ないでしょう。
更に防衛部隊の配置図やタウンの構造でさえも他の街に比べて格段にセキュリティーが強固と言う事です」
とより詳細な説明をする。それを聞くと
「それだけ重要な場所って事か。何れにしろ直ぐには攻めらんねえな。もう少し様子を見てからでねえと」
「ええ、折角調査員を買って出てくれたんですから。その点も含めてもう少し待機するべきでしょうね」
八咫が現時点での侵攻は危険だと感じ、それに涙名も同意する。その直後星峰は
「なら、一ついいかしら?さっき街で気になる情報が入ったの」
と言い、空弧の
「何?気になる情報って」
という問いかけに対し先程の男性から聞いた事を伝える。それを聞いた天之御は
「成程ね……西側も警戒か。なら一度こちらも出向いたほうがいいかもしれないね」
と語り
「ええ、ワンカーポがこれだけ存在感を増している以上、西側の動きも活発になってきているのでしょう。両方が脅威となる前に手を打つべきです」
と涙名も同意するがその同意にはどこか別の視点が入っているように感じられる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます