第158話 先史の加速
「実は最近、西のローリアタウンを中心としたブント支配エリアにおいて人族、魔神族を問わずブント部隊の動きが活発になってきているんです。ただ、現状では戦闘の為ではなく、遺跡の捜索を中心にしているのではないかと予測しています」
「遺跡の捜索……と言う事はその近辺に遺跡が存在している可能性があるって事?」
「そこはまだ分かりません。ですが西エリアは他のエリアと比べても遺跡発見の報告が目立って少ないエリアです。もしかしたらそれが逆に捜索意欲を掻き立てているのかもしれません」
「発見が少ない場所には寧ろ……って事ね。分かったわ、私の方から魔王様に伝えておく」
こうしたやり取りを終え、男性が
「では、私達はこれで」
と一礼してから去って行くのを見届けると星峰は
「ワンカーポとは真逆の方でも嵐の前の静けさか。これは偶然なのかしら?」
と疑念を抱くのであった。その直後天之御から
「星峰、聞こえる?ワンカーポ周辺で又戦闘が起こったんだ」
と言う通信が入り、それを聞いた星峰は
「又!?分かった、直ぐに戻るわ」
と言って城に帰還する。そして天之御の元に行くと他の面々は既に集まっていた。
「星峰、既に伝えたけど又ワンカーポ周辺で戦闘が起こった。今回も仕掛けてきたのはブント側の人族、スリーリバーマウンテンに向かって現地の防衛部隊に仕掛けてきたよ」
天之御がそう説明すると星峰は
「で、結果はどうなったの?空気からすると悪い報告ではないみたいだけど」
と結論を急いだ話をしようとする。そんな星峰に空弧は
「ええ、防衛には成功したわ。ただ、その際防衛部隊がこちらが提供しておいた先史遺産の技術を用いた妖術道具を使ってしまい、その存在を知られた可能性があるの」
と返答しつつ問題点を提起する。
「妖術道具……つまり先日入手した自然操作の様な技術ね。でも魔神族であれば得意不得意の差はあれど妖術は使えるのではないの?」
大部分は理解しつつも一部には疑問を呈する星峰、まだ完全に魔神族である事の意味を理解している訳ではない様だ。そんな星峰に岬は
「確かにそうなんだけど、その道具を使えばある程度不得意な部分を補い、得意であれば更に伸ばす事が出来るの。まあ、つまりは一種の加速装置ね」
と補足する。更に天之御は
「そして、敵兵士を捕える事にも成功したからこの前の君の作戦通り、本当に偵察員をワンカーポに送り込んだよ」
と続け、それを聞いた星峰を驚愕させる。
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