第107話 集う魔神族

だがその時


「はああっ!!」


という掛け声と共に空弧と涙名が現れ、それぞれ爪と剣で弾丸を切り裂く。そのまま二人は岬の傍に行き、彼女と共に身構える。


「何っ!?他の奴等まで来たのか!?」


モイスが狼狽えているとそこに


「私達も居るわよ!!」


という声と共に八咫とそれに連れられた空弧が上空から降下してそのまま岬達に合流する。


「勢ぞろいという訳なの・・・くっ、このままでは・・・」


コンスタリオが弱弱しく呟いたその時、兵士長から


「今回の作戦は失敗だ。こちらの戦力の半数以上をやられた以上これ以上作戦続行は出来ない。速やかに離脱せよ!!」


という通信が届く。


「しかし・・・今この状況で後退するのは・・・」


コンスタリオがそう告げたのは私怨によるものではない。幹部クラスが勢揃いしているこの状況で背を向ける事の危険性を考慮しての事である。


「その心配は無用だ!!」


その声と共にその場所に突如として移動車が現れ、高速でコンスタリオ達を回収して去っていく。急な展開に唖然とする星峰達。だが


「今の移動車・・・明らかに回収のために来ていたわね。例の隠密技術を使っていたし、コンスタリオ小隊がブントにとっても欠かせない戦力と化してしまったのは疑いようのない事実ね。」


という星峰の一言で直ぐに何時もの状態に戻る。


「ハイ・・・所で、星峰と八咫はどうしてここに?あなた方の・・・」


岬がそう問いかけると星峰は


「敵の狙いが分散しての挟み撃ちだとわかったから素早く正面の敵部隊を蹴散らしてこっちに来たのよ。ご丁寧にこっちに大軍を回してくれていたから殲滅には然程の時間はかからなかったわ」


と笑顔で告げ、八咫も


「全く、星峰は大したもんだよ、いろんな意味で」


と感心した様子を見せる。

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