第108話 魔神族の打ち上げ
「ふふっ、まあお話は帰ってからにしましょう。天之御が待っているわよ」
照れ隠しをしている様にも見える星峰の返答だが、それに反論はなかった。そのまま一行は転移妖術を使いブエルスへと帰還する。そしてブエルス、謁見の間に帰還した後、早速そこに居た天之御に今回の一件を報告しようとするがその前に天之御が
「皆、お疲れ様。ささやかだけどお茶を用意したよ」
と言って自らテーブルを動かし、紅茶を並べる。その行動だけを見るととても魔王とは思えなかった。
「天之御様、何もそんな事・・・」
空弧が遠慮がちに言うが天之御は
「何時も楽してばかりだからね、この位はしないと」
とその手を止める事はせず、お茶の準備を整えていく。そして準備が終わり、皆が椅子に腰かけると八咫は
「全く、それにしても星峰は本当に大したもんだよ」
と先程の続きを話したいとばかりに同じ言葉を繰り返し
「そうだね、人族部隊が姿を消す技術を使った後の狙いを即座に見切ったんだから」
と岬も続ける。それを聞いた星峰は少し照れた表情を見せる。
~作戦開始前~
星峰が地図を見続けていたが、人族部隊の反応は突如として消えてしまう。
「反応が消えた!?どういう事だ」
八咫が困惑すると涙名は
「まさか・・・姿と反応を消す魔術!?情報に入ってはいたけど、まさかもう実践投入できるレベルになっていたなんて・・・」
と返答するが、その顔は八咫同様の困惑が浮かんでいた。だが星峰は
「それをこのタイミングで使うか・・・でもだったら何故最初から・・・もしかして、進撃は陽動でもあるのかも」
と動揺することなく持論を述べる。それを聞いた天之御は
「陽動って事はつまり・・・となると、山の中にも防衛部隊を配置しておいた方がよさそうだね。いや、寧ろ本命はそっちかもしれない」
と言い、星峰の言おうとしている事を察する。その洞察力は魔王の名にふさわしい物と言えるのだろう。
そして星峰と天之御の指示の元、今回の迎撃態勢が整えられ、それぞれの持ち場へと出撃する。
~現在~
「そして予想通り、山岳地帯側にも部隊を差し向けてきた」
八咫はそれで完結した様に話すが星峰は
「でも油断は出来ないわよ。今回は狙いが読めたから迎撃出来たけど、人族部隊が姿と反応を消す魔術を完成させたという事実はのしかかっているのだから」
と諭すように話し、それを聞いた八咫は
「・・・そうだな、浮かれすぎたようだ」
と顔を少し険しくして言う。
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