第2話 イージスの都市

~10年後~


人族の都市の一つブエルス、アルス地方最大の都市であり、人族全体で見ても五本の指に入る大都市であった。この地を収めるルリア皇族の統治の元、幾度と無く魔神族の侵攻を防ぎ、人族、魔神族双方から重要拠点として広く認知されていた。

故に人族からは「イージスの都市」魔神族からは「鉄壁の城下町」と言う名称がつけられた。


都市内にあるルリアの城、その中庭にて人同士の戦闘訓練が行われていた。

「ああっ」

「これで・・・っ!!」

小柄な少年に向かって大人が剣を振り下ろす、だが少年は軽々とその剣を躱し、兵士の持ち手に自身の剣を当てる。金属音と共に弾け飛ぶ剣、その直後

「そこまで!!」

と言う声がかかる。


少年だけでなく、その場にいた全員がその声を合図に城の中に入り、汗を拭きながら移動していく。向かった先は食堂だった。食堂に付くと少年は辺りを見回す。すると「おーい!!こっちこっち~」

そう呼ぶ元気な声を聞くと少年は声の主に

「ああ、そこに居たのかモイス」

そう軽く返答しモイスと呼ぶ少し上に見える少年の隣に腰かける。


「ねえ、聞いた?今度ここの食堂に城下町の有名料理店が出張で来るんだって!!きっとその時は豪華な食事が期待出来るわよ~」

そう話すのは同じテーブルに腰かけていた少女だ。


「ええ~それ本当なのコンスタリオ?だったらその為にも今後の任務、頑張らないと!!」

「おいおいシレット。お前がそんなノリでどうするよ?」

「あっ!!私が一番年言ってるって言いたいの?・・・まあ、そうだけど・・・」


シレットとコンスタリオと言う姉妹の様な女子二人、コンスタリオは四人の中で一番大人びて見える。そんな二人を揶揄うように話すモイス。


「豪華な食事・・・か、その前に過酷な任務が来る前触れでなければいいけどね・・・」

その会話を見聞きしていた少年がぼそりと呟くがそれは当然その三人の耳にも入っており

「もう~何でスターは何時もそうやって不安な方向に持っていくのよ~」

とコンスタリオは不満げな顔を浮かべる。

「・・・御免・・・」

スターと呼ばれた少年は素直に頭を下げる、だがそれを見たシレットは

「・・・仕方無いか・・・彼にとってここに居る理由は・・・」

と何かを思うのであった。


そして四人の元に料理が運ばれ、それぞれ口にし始める。

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