第4話



【完成プロット 4話】



○1億円を担保に地上に出て林の中を歩くカケルと愛


カケル『3年前来た時に、この辺で採ったキノコがうまくてさあ~』


愛『で、今日はキノコ狩りと言うわけね!ホテルで鍋ってのもいいね!


警備室前をキノコは通れるの?』


カケル『麻薬探知機とか爆発物チェックとかあるけど、引っかからないから


大丈夫!』


愛『よかった!』


カケル『やっぱ食事は和食だよね~』


愛『でもなんか蚊が多いよね!長袖でくればよかった!』


カケル『俺、しばらくこの辺にいるから着替えてくれば?』


○夜に鍋をつつく2人


カケル『あ~食った食った!』


愛『やっぱり和食よね~!』


○虫カゴを見る愛


愛『これと、虫取り網、さっきも持ってたけど、虫取りもしたの?』


カケル『なんか懐かしくてね。』


愛『何も入ってないけど、取れなかったの?』


カケル『思い出が沢山取れたよ(笑)』


愛『あはは』


○夜ふけに車の付いた旅行バッグを転がして賭場街に出掛ける2人


愛『これは例のローザーから買った品々?』


カケル『うん。賭博のアイテム』


愛『へ~。プロっぽい(笑)


ポケットにたばこのケースがあるけど、吸うようになったの?』


カケル『いや、俺18才だからね(笑)格好だけ~』


愛『そうか、賭場では若すぎるから、なめられたくないんだ?』


カケル『まあ、そんなトコっす(笑)』


○ある扉の前で立ち止まるカケル。貼り紙にはルールが記されていて愛が読み上げる。


愛『透視の部屋。2人対戦。片方のプレイヤーが2つの部屋から1つを選び


最低でも部屋のテーブルに1000万円を置いて出る。


その後、もう1人のプレイヤーがどちらかの部屋に入り


お金の置いてある方に入れればベットされたお金は手に入る。


もしプッシュしたければベットされた金額の10倍を部屋に置いて外に出る。


その後、最初にお金を部屋に置いたプレイヤーが再びどちらかの


部屋に入りお金のある方に入れれば獲得。間違えれば同額を支払う。


勝利者は利益の10%を賭場に支払う事。この賭場では持ち物チェックはしない』


カケル『前からここ、気になってたんだ。面白そうだなって』


愛『今日はここなんだね?』


カケル『うん。ここで待ってて!』


○部屋に入ると宝石を体中にまとった対戦相手の女性がソファーに1人。


カケルの方をちらりと見る。支配人が奥のカウンターから出てくる


支配人『ようこそお越しくださいました!』


○バニーガールがおしぼりをカケルに渡す


支配人『当店のルールを説明させて頂いてよろしいでしょうか?』


カケル『お願いします』


支配人『ではこちらへどうぞ』


○別室に入ると小部屋になっていて床にはじゅうたん。ドアと引き戸が1つずつ。


右手のドアは外の通路とつながっているので協力者が出入りできる。


この部屋に天井照明のスイッチは無い。


正面の引き戸を開けると2つのドアがすぐ目の前にある。


ここも小部屋程度の空間。壁には天井照明のスイッチがある。


扉にはAの扉とBの扉があり、どちらの部屋も小部屋でテーブルが1つ


置いてあるだけ。


カケルの心『先に来てた対戦相手の女性は説明済なんだな』


○後ろからその女性がやってくる


カケルの心『バニーガールに呼ばれたのかな?なんで説明の途中から?』


支配人『お二人様に説明を終えましたので、試合開始の前にAとBの2つの部屋に


2人様同時に入って仕掛けが無い事を確認していただきます』


カケルの心『なるほど。勝負後のごたごたは面倒だから最後の最後に2人同時確認か』


支配人『ルールは貼り紙の通りです。先行後攻はお客さま同士で


納得のいく方法でお決めください』


カケル『持ち物検査無し、さらに通路とのつながりがあると言う事は


何でもありと言う事になりますが?』


支配人『壁を壊すなどの修復作業がかかる行為や人体に大きな損傷を与える


仕掛けはご遠慮ください。制限時間は扉に入って、大部屋に帰ってくるまで10分となります』


○支配人とカケル達が大部屋に帰ってくる


カケル『初めまして!よろしくお願いします』


女性『はじめまして!お願いします』


カケル『先行、後攻の希望はありますか?』


女性『いいえ。私はどちらでも』


カケル『じゃあ、先行でいかせて頂きます』


女性『分かりました』


○カケルは1つ目の小部屋に入り、手袋をして、通路の愛を呼ぶ


カケル『旅行カバン貸して』


愛『うん』


○旅行カバンの中には道具がぎっしり


愛『わ~!道具がいっぱい!』


カケル『これと、これだな!』


○カケルは折りたたみのモップとペンキ塗りのハケ、2つのビンを取りだし


小切手に1000万円と記入。Aの部屋に小切手を置き、床掃除を始める。


愛『?なにやってんの?』


カケル『モップで足跡を消しているんだ。』


○大部屋に戻るカケル


カケル『どうぞ』


○次に部屋に入る女性


○数分すると支配人からアナウンス


支配人『女性がお金のある部屋を当てられました。1000万円を獲得しましたが


10倍プッシュを行いましたので、どちらかの部屋に賞金1億円があります。


プッシュをお受けしない場合はそのままご退場ください』


カケル『負けたまんま逃げるわけねーだろ・・』


○部屋の扉を開けるカケル。そして外への通路のドアを開けて愛を呼ぶ


愛『どうだった?』


カケル『1000万円すった(笑)』


愛『あらら・・』


カケル『でも相手がプッシュしてきた』


愛『じゃあ、1億円!?まだやるの?』


カケル『やるよ!本番はここからだ!』


○部屋のスイッチを消すカケル。するとぼんやりヒールの足跡が床に浮かび上がる


愛『これ、夜光塗料?』


カケル『うん!ワックスに混ぜたんだ!これで1億は頂きだ!


最初に賭けた俺の1千万円を取るのにBの部屋を行き来する足跡は


あって当たり前。問題はその後。プッシュする1億円をAの部屋にすれば


新たにAの部屋に行き来する足跡が付く。


それがこの足跡!と言う事で1億円はAの部屋にある!


部屋のドアは1ベットにつき1回しか開けられないから間違いは無い!』


愛『うっわ!やるー!1億ってこんなに簡単に手に入るんだ!』


カケル『最初から高額ベットをありにすれば?と思ったが


最初から、1億円じゃ逃げ出す奴も多いだろう。でも1千万円を


すったら熱くなって10倍プッシュを受ける率が上がる。


賭け金が上がれば賞金の10%が取り分のディーラーはもうかる。


ここの賭博部屋は仕組みはそーいう仕組みだ!』


○自信満面で足跡の付いてる方の扉を開けるとテーブルの上には何もない


カケル『!!ばかな!?』


○テーブルの上にはお金が無い。呆然と立ち尽くすカケル


愛『え!?足跡はこっちにしか向いて無かったよね!?』


カケル『やられた。フェイクだ・・』


愛『フェイク?』


カケル『おそらく協力者が通路にいて俺達の行動を見ていたんだ。


そして足の細いテーブルを渡しにして部屋に入り1億を置き、


柄のついたヒールの靴でスタンプみたいに足跡を付けたんだ!』


愛『ワックスに気づいていたんだ・・1億円となると簡単じゃないね・・』


カケル『・・・』


○落ち込んだ表情で部屋に戻るカケル。中の女性は嬉しそうにカケルを見る


女性『もう1回なされます?(笑)』


カケルの心『こいつ・・ここの賭場、初めてじゃないな・・。』


カケル『もちろん!』




【完成プロット 5話】



○再び2人同時にAとBの部屋を確認する2人


○Aの部屋を2人で確認して女性が先に出た時、部屋の奥でカケルは胸のポケットの


たばこのふたを開けて、残り1本の煙草を吸おうと一生懸命


ライターの石をこするがつかない。


支配人『お客様。申し訳ございませんが勝負部屋を2人同時に確認する時に限り


おタバコはご遠慮ください。』


○部屋の奥の天井にある監視カメラに向かってタバコケースの中を見せるカケル


カケル『何にも仕掛けてないでしょ!ほら!ただのカラのタバコケース!』


○タバコでタバコケースの中をくるくるかき回すカケル


カケル『ほら、何にも出てこない』


支配人『試合中にここでタバコを吸われるのはかまいません。


しかし今は公正な確認の時間ですので後にしていただけますでしょうか?


トラブルのないようにお願いいたします。』


カケル『はいはい。負けがこんだら吸いたくなるのがタバコなんだよね』


○少しあきれた表情で部屋をのぞく女性


○あたりを見渡しながら部屋をそっと出るカケル


○部屋から出ても辺りを見渡すカケル


カケル『このタバコのケース確認します?』


女性『いえ。そのケースをさわった私の手は


次に勝負部屋のドアのノブも触るので遠慮します』


カケル『やりますね!そこまで読むとは!』


女性『では先行でも、後攻でもどうぞ』


カケル『じゃあ、先行で!』


○再び小部屋に入るカケル。通路から愛を呼ぶ


愛『ねえ・・見られるとまずいんじゃないの?』


カケルが不満そうな声で『旅行カバン・・』


愛『はい・・』


○旅行カバンを開けると新しいモップと前回と違う色のビンを手にするカケル


愛『え・・またモップ作戦?』


カケル『うん。でも、今回は薬品が違う!』


愛『ちょっと・・声、大きいよ・・』


○大部屋に戻るカケル。余裕の表情の女性


○不機嫌そうにどかっとソファーに座るカケル


○それを横目で見て鼻で笑い、女性は小部屋に向かう


小部屋に向かった女性は手袋をして、通路へのドアをノック。1人の男性が入ってゆく


それを見ている愛


愛『さっきも入っていった人かな?店員さんじゃなかったんだ・・』


○ドアの前の小部屋の灯りを消す女性


女性『光らない・・薬品をかえて来たのかな?(笑)』


男性『はい!薬品を変えたという声をこれで聞きました!』


○男の耳のアップ。集音器が付いている


○ポケットから茶色のサングラスを取りだしてかける女性


○床には何か塗られた跡が浮かび上がる


女性『ふ、他愛もない。成分を調べて!』


○男もポケットからサングラスを取りだしてかける


○そしてテレビのリモコンのような機械で床に赤い光を当てる男


男性『ワックスに遠赤外線放射塗料を混ぜています!塗った所に熱を発します!』


女性『なるほど・・今度は拭いても消えない熱の足跡か・・


熱探知機も持ってるんだ!ふふふ(笑)プロじゃない!


これなら踏んだ後に拭いて消しても熱が床に残る。か・・』


女性『外で女の子が見てるから、あんまり使いたくないけど


こりゃ、本気でいかないとやられるね!勝負用のテーブルを持ってきて!』


男『はい!』


○AとBのドアのある小部屋の床に一切脚が付かない電動で伸びるテーブルを


中間の部屋から伸ばして、そのテーブル上を通り部屋に入る女性


○大部屋のアナウンス


支配人『女性のお客さまが1億円を獲得いたしました。しかしプッシュを


なされましたので現在どちらかのお部屋には10億円が置いてあります。


プッシュをお受けしない場合はご退出ください』


○大部屋に女性が入ってくる


○静かにソファーに座る女性。カケルは女性の正面のソファーに移動


カケル『プロの方ですか?』


女性『さあ?あなたこそプロでしょ?』


カケル『僕は学生です。』


女性『ふ~ん。ここでは正体をばらした分だけ不利になる。


もし、言ったところで嘘かホントかなんて分からない。


無駄な事を聞くのね(笑)』


カケル『そうですね・・。』


○しばらく女性を見つめるカケル


カケル『10億円、頂きますね』


女性『あははは!どうぞ!』


○見つめ合う2人。やってごらんといった表情の女性。自信満面のカケル


○ジャケットを脱いで、シャツの袖をまくり、小部屋に向かうカケル


○ドアの前の小部屋に1人で入るカケルは部屋の中をじっくり見て回り


そっと中間の小部屋に戻り、ゆっくり引き戸を閉じる。


ここでも部屋中を見渡す、ゆっくり通路へつながるドアを少し開けて愛を呼ぶ


愛の心『あれ?ジャケット脱いでる・・負けて熱くなってるんだ・・』


愛『どう?1億円とられた?なんでドアしっかり開けないの?』


カケル『大金がかかった勝負だから静かに入って。扉はあまり開けないでね』


愛『うん・・』


○扉を少しだけ開けてそっと中に入る愛


カケル『2回連続で当てられた・・多分プロだから、俺の入った方が分かるんだよ。


しかし、その仕掛けは分からない・・』


愛『もうやめようよ!お金が全部無くなっちゃうよ!ここで一生は暮らしたくないよ!』


カケル『俺は逃げないよ!愛にお願いがあるんだ!』


愛『なに?』


カケル『この部屋の引き戸とドアは両方開けないで、この部屋に蚊がいたら教えて欲しい。


もし何かあったらドアをノックして!10億円がかかってるから真剣に頼むね!』


愛『うん・・』


○AB扉の前の小部屋で一生懸命に蚊を探すカケル


○中間の小部屋をしばらく探す愛は引き戸を1センチほど開けてカケルに


話しかける


愛『いないよ・・』


○汗だくのカケル


カケル『時間いっぱいまで探そう!1匹10億円の蚊だ!』


○アナウンスが小部屋に流れる


支配人『そろそろ10分になります。どちらかのお部屋を選んでください。


キャンセルはできませんので選ばない場合も10億円をお支払い頂きます』


○カケルは震える手で引き戸を開けて2人は話し合う


カケル『み、見つからない・・一応俺がこっちも見るよ・・』


愛『いないんじゃない?』


○腕をかく愛


○カケルの眉間にしわが入る


カケル『!?』


○愛の腕をつかみ、そばでじっと見るカケル


○前回入った部屋のノブをぐっと握り、勢いよくドアを開けると


1億円のアタッシュケースが10個ある


○真っ赤な顔で両手でガッツポーズをとるカケル


カケル『おっしゃああああ!!!!』


愛『わ!!!!あった!!!!あったよ!かける!!!!』


○アタッシュケースを持とうとするが手が震えて持てないカケル


○まともに歩けずに腕を震わせながらその場にしゃがみ込むカケル


○後ろから抱きつく愛


愛『なんで・・なんで蚊を探したの?』


カケル『さっき、勝負相手とする最終確認でこの部屋に入った時に


今日、林で捕まえた蚊を数十匹放ったのさ!対戦相手が外に出た時にね!


見ているのは監視カメラだけ!しかし、蚊を監視カメラで見るのは困難!


俺は1回目のベットを蚊のいない方に行った。


その後、相手も蚊のいない方の扉を開け1億円を獲得した。


問題はその次、10億円を蚊のいる方に置けば蚊は外に出る。


または相手が蚊に刺される。


蚊のいない方に置いていれば蚊は外に出ない!


この最終勝負は蚊の動きが勝敗を握っていたんだ』


愛『蚊なんて持ってたの?旅行カバンから取らなかったよね?』


○息を切らせながら胸のポケットの煙草のケースをさわるカケル


愛『その中だ!』


○少し笑いながら、得意げな顔でポケットにたばこをしまうカケル


カケル『これが今回の切り札さ!最初の勝負で相手は小切手ではなく現金1億円の


アタッシュケースを置いた!10億円ともなれば、その十倍の持ち込みだ!


数十匹の蚊の1匹くらいは部屋から出る!もしくは蚊に刺される。


もし、蚊が部屋から出れば俺の勝ちだ。


少なくとも1匹が部屋を出て愛の血を吸った。だから愛は腕をかいた。


俺がジャケットを脱いで腕まくりをしたのも蚊を集めるため!


最後に対戦相手の正面ソファーに座り、無駄な会話を仕掛けたのも虫さされの確認さ!』


愛『そう言えば、腕を刺されてる・・夢中だったから分からなかった・・』


カケル『薬品を変えて塗ったのはフェイク返し!


わざと廊下にいる協力者に聞こえるように大声で話して薬品を変える事を教えた。』


愛『あ、だからさっき、大声で?私、知らなかったから注意してごめんね・・』


カケル『いいんだよ!それも計算のうちなんだ!嘘の仲間割れの空気はプロに


通用しない!たばこケースの中身を教えなかったのも、いずれ来る仲間割れなどの


トラブルを想定してのものなんだ。心配させてごめん。』


愛『ううん』


カケル『最初に負けたのも全部フェイクだ!無駄な床掃除をして


一生懸命勝負しているように見せて負ければ相手の警戒を解く。


負けて口喧嘩をしている、おろかな若いカップルを演じる必要があったのさ!


そしてその行動は財布のひもをゆるませる!』


愛『・・そこまで考えたんだ・・』


カケル『負けたら6億円以上の借金!払えない。通路にはびこるローザーの仲間入りさ!


そんなのは御免だ!』


○支配人との清算を済ませ、大部屋に帰ると女性は顔を両手でおおっている


○その女性に目もくれず、ジャケットを取り、静かに部屋を出るカケル



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