第2話


登場人物


愛奈はロボットのパイロット

メガネは天才少女で試合の指揮官

リボンは天才メカニック


3人で力を合わせてロボットバトル大会を優勝を狙う物語



【2話】


○リボンの家の作業場に集まり、トーナメント表を見ながらお茶する3人


愛奈『これだと勝てても1回戦だけだね・・』


メガネ『なんで?見せて?』


愛奈『2回戦で去年の準優勝校と当たるから・・』


メガネ『じゃあ、1回戦は勝ちましょう!』


メガネ『リボンちゃんにメモのお願いがあるの』


リボン『いいよ~』


メガネ『ラジエーターの上の装甲を厚くして欲しいの』


リボン『うん。じゃあ適当なパーツを溶接しておくね!でも、なんで?』


メガネ『うん。そこを攻撃されるの』


リボン『え?わかるの?』


メガネ『うん。全チームの成績と気になる試合はネットで見たの』


メガネ『あと、肩のカウルを当日に外して欲しいの』


リボン『ええ?どーして?』


メガネ『攻撃されないから。他にも理由は3つあるけど秘密!』


○試合当日、会場前で待ち合わせする3人


愛奈『メガネちゃん、そのクーラーボックスの中身は?』


メガネ『ん~。ひみつ!』


リボン『なんか秘密ばっかり!教えてよ!』


メガネ『え~っと、使わないかもなんで(笑)』


愛奈『あ、わかった!山が外れたらプライドが傷つくんだ!』


メガネ『せーかーいっ(笑)』


○会場内の風景を映した後にバトルリング両端に立つ機体を映して

敵チームのベンチを映す。


監督『相手の機体どう思う?』


生徒『寄せ集めの貧乏機体ですか?(笑)右足はタイヤだし、ショルダーカウルは無いし』


監督『うちの生徒に寄せ集めのパーツを合わせられる奴はいるか?』


生徒『・・いいえ』


監督『さらに、バランスが左右非対称だから市販のOSはそのままでは使えない。


もし、まともに動けば相手のメカニックとプログラマーはただ者ではない』


生徒達『・・・』


監督『ショルダーカウルは無いんじゃなくて、外したとすれば正解だ。


うちの機体は武器がニードルだから縦方向の攻撃。


この機体よりも背の高い機体の頭部を横振りで攻撃した事はない。


そしてあの装甲追加の位置。攻撃目標を見抜いている』


生徒達『!』


監督『ただ者どころか、化け物かもしれん・・・』


生徒達『化け物?』『化け物だってよ(笑)』『化け物じゃやばいか?(笑)』


監督『しかし、勝つのはうちだ!予定通りの作戦でいけ!』


○愛奈チームのベンチ


愛奈『なんか、うちら超見られてない?』


リボン『うん・・。』


メガネ『たしかに・・』


愛奈『3人のうち誰かに惚れてるんじゃない?』


リボン『そ、そうかなっ?』


メガネ『愛奈を見てるんじゃない?(笑)』


愛奈『え~~!うそー!』


メガネ『(笑)』


○場内アナウンス


『ただいまより試合を開始します!


両チームのロボットをセンターポジションに配置してください。』


○よろよろしながら進む愛奈の機体


愛奈『やばい!緊張して手が震える!』


監督『・・思い違いか?』


生徒達『あははは!』


メガネ『これ飲んで』


愛奈『あ、ハーブティー?』


メガネ『うん。落ち着くから!』


○センターポジションにロボット2体が立つとアナウンス


『それではルールを説明いたします。


1試合は30分間で行います。


場外に相手を出すと勝利となります。


相手の立ち位置を止めた場合は10分間のカウント中に移動されなければ勝利となります。


バトルリングにタオルを投げ込むと負けとなります。


空気の成分比率を変えた場合、酸素+窒素を99%未満にすると負けとなります。


空気中に水以外の液体を散布した場合は負けとなります。


会場とプレイヤーベンチは強化ガラスに守られていますが


危険物を故意に放出しますと負けになります。


相手機体の危険箇所の×印に有効攻撃を加えますと負けになります。


時間内に決着がつかない場合は有効攻撃数の少ない方が負けとなります。


作戦タイムは両チーム10分行えますがタイムを使用した場合は


有効攻撃数が10ポイント減点となります。


以上で説明をおわらせていただきます。』


○ビーーーという試合開始音


メガネ『正面に立つとニードルが来るから横に回り込んで!』


○敵ロボットが方向を変える度に横に回り込む愛奈の機体


生徒『あれ?いい動きになったぞ!』


監督『しっぽ行け!』


○相手ロボットのお尻からしっぽが生え、回転して愛奈のロボットの足払いをして


機体を倒す


愛奈『きゃあ!』


メガネ『愛奈!相手に正面を向けないで!』


監督『行け!ニードルジェットブロー!!』


○相手の右腕からジェット噴射。その腕は無秩序に揺れながら、いきおいよく


愛奈の機体の胴体を突き刺す


愛奈『きゃああ!』


相手チーム『やったあ!』


○普通に起き上がる愛奈の機体


愛奈『あれ?動くよ?』


メガネ『ヒートメーターはどう?』


愛奈『ぜんぜん!』


メガネ『良かった!装甲のおかげね!』


愛奈『今度はこっちの番だから!』


○相手の機体の横からパンチを連打する愛奈の機体


生徒達『ふふっ、エンジン回せ回せ!ポイントなんか稼いだって


判定になんかならないよ!』


愛奈『あれ?私の機体から煙が出てる!』


○機体の状態を細かく見れるパソコンを覗きこむメガネ


メガネ『まずい。タイムいくね!』


○ベンチ内のタイムボタンを急いで押すメガネ


アナウンス『南中チーム10分間のタイムが入りました。』


○ベンチそばに引き返したロボットに駆け寄る3人


愛奈『大丈夫?爆発しない?』


メガネ『大丈夫!リボンちゃん、放水お願い!』


リボン『うん!』


○給水車のノズルを伸ばして機体に水をかける


メガネ『ここ開けて!』


○厚くした装甲を外すとラジエーターの水タンクに大きな穴


メガネ『ええ?凄い穴!これ直せる?』


リボン『あ~。無理・・』


○持ってきたクーラーボックスを開けて中の粉をボールの器に入れて水で溶かすメガネ


愛奈『なにこれ?』


メガネ『水で溶かすと数分で固まるゴム』


愛奈『あ~!スーパーボールみたいなやつだ!』


メガネ『うん。そんな感じ。強度は低いけど熱にも強いゴムだから少しは給水できるの』


リボン『どこで買ったの?』


メガネ『外国のロボットバトルの販売サイトで買ったの。もう少ししたら給水お願い』


愛奈『水が抜けると煙が出るんだ?』


メガネ『うん。水でエンジンを冷やしているから


抜けると高熱になってエンジンが止まるの』


アナウンス『あと1分でタイムが終わります。準備が整いましたらセンターポジションに


ロボットを配置してください』


○センターポジションに向けて歩き出す愛奈の機体。場内からは拍手


生徒『動いてますよ?』


監督『初めてだな。オーバーヒートから回復したチームは・・・。


ルールブックではジェット装置のついた部位での攻撃は1回までだったな・・。』


生徒『応急処置ですからニードルで同じ所を攻めてみます!』


○試合が再開してから激しくボディを攻める相手チーム


愛奈『あ~~!こわれちゃう!』


メガネ『チャンスがあったらバランスを左に傾けて、右足を最上段に上げてみて!』


愛奈『無理!攻撃が止まらない!』


○再び煙を出す愛奈の機体


○プレイヤーベンチで機体の状態をパソコンで見るリボン。


リボン『また水が抜けたみたい!機体の温度上昇!オーバーヒートで安全装置作動!


エンジン停止!』


愛奈『もうだめっ!動かない!』


監督『よし!エンジン止まったな!』


生徒達『やったあ!』


アナウンス『南中チームの機体が止まりましたので、スタンドダウンを取ります。


北高チームは後退してください。カウント10分以内に南中チームの機体が動かないと


ゲームセットになります。』


リボン『止まっちゃった。』


○給水車のノズルを放水用に付け替えるメガネ


リボン『メガネちゃん。タオル入れるよ?』


愛奈『はあ・・』


メガネ『ん?もうちょっと待とうよ』


リボン『待つって何を?』


○会場に強く吹く風の音


観客A『あれ?降ってきた』


観客B『天気予報で午後は夕立に注意って言ってたな』


○一気に強く降り出す雨


愛奈『あ・・雨』


リボン『うわー!すごっ』


○給水車のノズルセットを終えたメガネはパソコンを覗く


リボン『なんか変わった?』


メガネ『ここ見て』


リボン『あ・・機体の温度が少し下がってる』


メガネ『あと3分』


リボン『肩のカウルが外れてるからエンジンにも


ラジエーターにも雨がたっぷりかかってるんだ』


メガネ『いつもは嫌いなんだけどね。夕立・・』


愛奈『ちょっと見て!リモコンランプが付いた!動くかも!』


リボン『安全装置解除!機動できる!』


○腕を動かす愛奈の機体


生徒達『うそだろ?なんでだよ!』


監督『ばかな・・安全装置が作動したと思ったが・・』


監督『はっ!!!ショルダーカウルを外した本当の意味はこれか!


さらに機体も少し軽くなってエンジンの負担を減らしている・・』


アナウンス『試合を再開いたします。両チームのロボットを


センターポジションへ移動してください』


生徒『こいつ、何度も何度も回復しやがって!』


アナウンス『試合を再開いたします』


観客『北高チーム、後ろに下がったぞ?判定勝ち狙いか?』


生徒『助走をつけて今度こそ一撃できめてやる!』


○ダッシュで愛奈の機体に向かう相手の機体


メガネの心『興奮して冷静さを失った。チャンス!』


メガネ『愛奈!重心左!右足最上段!ジェット噴射オン!』


愛奈とリボン『ハイキック!?』


○カウンターで入ったジェットキックは相手の機体を大破。


アナウンス『北高チームのダウンを取ります。10分以内に再起動しなければ


ゲームセットとなります』


○静まりかえった場内は一気に沸き上がる


○パソコンで機体の状態を見る監督と生徒達


監督『完全にやられたな・・。通信回路が壊れてる。タオルを入れてくれ・・』


○バトルフィールド中央に並ぶ選手たち


○男泣きする生徒達


○向かい合い、握手をする監督とメガネ


監督『見事です。初陣とは思えない』


メガネ『いえ、運が良かったんです』


監督『うちの機体は何が足らなかったんでしょうか?』


メガネ『足らない物はないと思います。ニードルも前回より長くなっていましたし


その長さを生かすためにジェット装置を内蔵したり』


監督『隠したんですけどね(笑)』


監督『また、会える日を楽しみにしています』



○マクドナルドで祝勝会をする3人


3人『かんぱーい!』


リボン『愛奈、ハンバーガー10個って頼み過ぎでしょ?』


愛奈『いいじゃない!次の試合の準備金200万円も入ったんだから』


リボン『たぶん、修理費で消えると思う』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る