第12話 外見や身体的なことで「LARPゲームはできない」と思う前に、読んでほしいこと

 LARPの話をすると、必ずと言っていいほど言われること第2弾。(第1弾はTIPS 9を参照のこと)


「私、運動できないから……LARPゲームできないです」

「格闘技とか習ってないから、絶対LARPゲームできないよ」


 ちょぉぉぉっと待ったァァァァ──────!!!!


 未だに、


「レイムーンLARPの戦闘はチャンバラ?だったら自分経験ないからいいや」

「運動できないし」

「ガチ武闘するんでしょ?」


 と思い込んでいる人が多い。


 断言しよう。

 それは、全部である。


 そんな筆者は、腰痛持ちで体育2だった、筋金入りの運動音痴。そんな人間が、戦士で剣を振り回して思う存分ヒャッハーしているのだ!! もちろん武闘経験ゼロなのは言うまでも無い。


 著者自身は運動苦手、体を動かすことも億劫で、下手するとギックリ腰にもなりやすい、と「体を動かすゲーム」とはかなり遠い位置にいたはずの人間である。そんな人間でも、LARPゲーム特有の「演技戦闘」を駆使すればきちんと戦えるのだ。


 演技戦闘とは、いわゆる、ガチで戦うことを防ぐため、安全性を重視するための闘い方である。ゆっくりと剣を大きく振る、寸止めを重視する、戦う効率性よりも、ロマンあふれる格好いい闘い方を推奨する。


 なぜこれをするのかというと、まず、本当に格闘経験のある人間がガチで戦ってしまうと、当然危険だし、そんな人間に格闘経験ゼロの一般人が勝てるわけが無いからだ。圧倒的に有利になってしまい、一気にゲームがつまらなくなる。ましてや、これがNPC側にいたりすると、プレイヤー側としては不満が噴出してしまうだろう。


 また、プレイヤー側がガチ戦闘をしてしまうと、どうしてもNPC側もガチになってしまう。リソースを削り、最終的に勝ちを譲ることを前提にしている雑魚戦なのに、ついムキになって戦ってしまいがちなのだ。


 そういった行為は、最終的にゲーム運営側が意図しない形でのPLという最悪の結末に至る。だからこそ、演技戦闘で余裕ある、勝つ負けるを重視するというより、戦うことを「楽しむ」戦闘を心がけることが大切だ。


 しかし文字にしてしまうと、これらについては伝わりにくい。実際に体験してもらった方が、「ああ、そういうことか」と伝わりやすかったりするので、今は「なんとなくそういうものなんだな」くらいの理解で構わない。


 これら演技戦闘の効果は大きく、過去に小学三年生の少年が、きちんと大人を戦闘で打ち負かしている。男性と女性もまた身体的な違いから男性が有利になりがちだが、これも女性が対等に戦えるようになる。ましてや、戦闘なんてやったこともない人や、運動が苦手な人間が参戦したとしても、楽しく戦うことができるのだ。足手まといになる心配は無いのである。


 しかし、こういう方もいるだろう。


「過去に怪我をして、左足に麻痺があるんです」

「右腕がうまく動かなくて……」


 過去の病気や身体的な障害により、物理的に動かせない人もいるだろう。

 確かに、そういった方に戦士などの前衛をさせるのは酷なことかもしれない。しかし、特に前衛に拘らなければ、魔法使いで後方から魔法ぶっぱなしまくって、戦局引っくり返せば良いのである。ただそれだけのことに過ぎない。


「腕がうまく動かせないから、魔法のボールを投げられないよ! 」


 だったら、GMと相談して、手で投げなくても、トイガンでボールを打ち出すものでも構わないか、相談すれば良い。

 大切なのは、「自分は〜だから、〜はできない」と思考停止してしまわないことだ。「きっとこれを相談しても無意味だ」と決めつけないことが大切だ。それは、あらゆる可能性を潰してしまう。


 レイムーンLARPでは、様々に柔軟な対応をすることを常としている。それは、出来るだけプレイヤーのしたいことの可能性の芽を摘み取らないよう、伸ばして育てていけるようにするためだ。そしてそれは、プレイヤーのモチベーション向上にも繋がっていく。


 そしてもう一つ。

 LARPを話すと言われること第3弾が、こちらだ。


「かっこいい人じゃないと似合わないでしょ? LARPゲームなんてできないよ」

「自分がやっても見苦しいから、LARPゲームはやれない」


 自分の見た目とのギャップ。

 これを壁に感じる人のなんと多いことか───


 ここばかりは本人のポリシーもあると思う。しかし結論から言うと、細くて綺麗でカッコ良くなきゃLARPできないって誰が決めたのだろう?


 誰も決めてない。なのだ。


 自分でそこを天元突破できるかが問題なのだろう。ちなみに、レイムーンLARPでは、ふくよか体系(柔和な表現)の方も積極的に参加している。


 似合わないと言われそうでビクビク、といった状況から解き放たれ、好きなだけ自分の好きな格好やキャラが楽しめるのは、もしかすると、撮影を主眼に置くコスプレよりも気軽かもしれない。かなり気楽に自分の好きなキャラに変身できるのが、LARPゲームの強みだと思う。変身願望が叶えやすいのだ。(版権キャラになれるかは団体によって違うと思うが)


 また、LARPゲームは古参とルーキーですら、その垣根を飛び越える。

 LARPゲームにおいて、こんな言葉がある。


「1レベルの人も10レベルの人も楽しめる」


 なぜこれを言うのかというと、「1レベルだから活躍なんて絶対できない」と思い込む方が圧倒的に多いのだ。そんなことはない。


 スキルでいうならば、1レベルの鍵開けスキルを持つ盗賊に、10レベルの戦闘スキルを持つ騎士にはどうやっても勝てない。まずは役割そのもので活躍していけるというのが一つ。


 さらに、同じ盗賊と鍵開けスキル、だけど1レベルと10レベルの開きがあったとしても、ルールによるが、レイムーンLARPが使用するパトリア・ソーリスの場合は、鍵開けならば1レベルだったとしても、ベテランの補佐という形で鍵開けに参加することにより、かかる時間が半分になるという大きな貢献をすることができる。


 戦闘スキルだけは確かに経験が光るものの、それでも演技戦闘がある分その差は縮まるし、頭数が増えただけで、後衛にとっては大きな戦力になり、前衛としても心強くなる。なぜなら、LARPゲームはリアルタイム戦闘なだけに、数の暴力になりやすく、敵側NPCスタッフを嬲り殺しにしたいなら、もし装甲が薄くても武器さえ持っていれば、多大な貢献となるのだ。


  「〜だからやれない」と色々と思い込んでブレーキかける前に、まずは知ることから、問い合わせすることから始めてほしいと思う。誤解したままは悲しいものだ。


 こういった誤解をどんどん解き、よりLARPゲーム参加への意欲を高めてほしい。著者は、そう願ってやまないのである。

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