第13話 家族でLARPゲームに取り組むということ

 さて。

 今回はLARPゲームの活動にあたり、夫婦で取り組む方向けのお話というか、実際に我々に起こったことを少し紐解いて話したい。夫婦ではない方や、状況がまるで違う方には退屈な話かもしれないが、スタッフ内で空中分解しないためにも、参考にして頂きたいのだ。


 ここ最近、気付いたことがある。

 私たち夫婦の生活は割と毎月のLARPゲームのことが中心で動いている所があり、まあ3年も経てばそういうライフワークに近いことになってしまうのも無理からぬことなのだが……



 LARPゲームのために、無理をしたり、我慢をすることが多くなった。



 ……と書くと、途端に不安になったり、LARPゲームなんてやらないほうがいいんじゃないか、と早とちりする人が出て来るだろう。ひとまず、最後まで本文を読んでほしい。大体、これはLARPに限らず、何かコミュニティを運営していれば起こりうる事態だ。


 月に4回ある土日は、私たちの場合、別のゲームサークルの主催も兼ねている関係で、そのうち2回は潰れてしまう。よって、他2回で休んだり、予定を組まないとならない。その上、代表である星屑が福祉仕事のため、体力・精神力の温存も考えると、自然と遊べる日なんて限られてくるのだ。


 正直な所、LARPゲームは趣味の範囲内のものに過ぎない。毎月楽しいからゲームをしている。しかし、一時期、義務になりかけたことがある。それは、敢えてここには掲載していないプライベート等の面倒ごとが重なりまくった時だった。


 精神力が疲弊してしまうと、自然と趣味ごとでやっていることもかなり苦痛を伴う時がある。もちろん楽しいことに変わりはないのだが、疲れ切っている時にLARPゲームの準備を毎月やるということは、言葉にせずとも辛さが分かってもらえるだろうか。


 特に、去年の9月あたりから今年の1月までは、サークルに直接関わる形でひとつ、大きな事案が起こったため、様々な形で活動に取り組むために精神的な弊害が出たことは否めない。つくづく、楽しいことをやるには楽しい気概が必要なのだと感じる。


 元々、私たちは夫婦喧嘩はあることはあれど、そんなに多くはない。しかし、LARPゲームに関することは別だ。情熱がある二人であるから、シナリオ作成になると熱くなりやすく、また、家族であるがゆえに言い過ぎてしまうこともある。同じ活動・事業を夫婦で敢えてやらない所も増えているが、たぶんこういった「どうしても容赦なくなってしまう」ことが発端なのだろう。


 だが、私たち夫婦はお互いに足りない所を補い合う形でレイムーンLARPの活動を形成している。これは疑いようもない事実であり、自覚し合っている部分でもある。だからこそ、喧嘩していても、お互いに必要だから離れるわけにはいかぬのだ。


 しかし───


 プライベートや他原因のトラブルが起こり、精神的な負担がお互いにかかりまくった時期、そこは辛いものがあった。不眠もあったし、精神的に強く落ち込むこともあった。言葉尻が鋭くなり、剣呑な雰囲気が数日間流れる。これは一緒に生活する夫婦にとって、かなりきつい。


 けれど。


 私たちは同時に、こうなった時に見失うことがないよう、話し合っている事項がある。それは、そういう時にこそ、面と向かってきちんと話し合う時間を設けるということだ。


 私たちはLARPゲームを心底楽しいと思っていること。

 楽しいから、広めたいと思っていること。

 何より、夫が、妻がいなければ、これは完成しないということ。


 そして、次が一番大切。



 だから───私はあなたが必要だ、ということ。



 必要だとお互いに自覚し合えば、コミュニケーションの取り方を改めることができる。ここは本当に大切な部分だ。同時にたぶん、言葉に容赦なくなりがちな家族において、逆に、ここまで通じ合えない部分でもあると思う。


 正直な話、自分たちの無理がたたってなら自業自得なのだが、きちんと休むなど自己管理をきちっとしていても、外的要因が転がり込んできてトラブルに発展、お互いにの気概と時間をスポイルされるという状態だと、状況が好転できるまでは耐えるしかない。


 これはお互いのせいではないから、余計に怒りとイライラのやり場に困り、結果お互いに叩きつけ合うという悪循環を生み出しかねない。そして、知らぬうちに「外的要因が原因、外的要因こそが悪いのだ」という根本的な本質を塗り替えてしまう。「イライラする態度を発する夫が(妻が)悪いのだ」となってしまう。恐ろしいことだが、身を以て体験したので言える。これはヤバイ。


 であるからこそ、この間違った概念をきちんと取り除く作業が必要だ。少なくとも私たちには必要な時間だった。結果それは功を奏し、現在まできちんと機能している。夫婦という関係も、サークルの在り方もだ。


「無理をしているのではないか」

「休む時間を取るべきなのでは」


 と様々な方々に言われる。無理もないだろう。これだけ傍目から見ても不安になるほど、私たちの作業は膨大だ。


 しかし、安心してほしい。そこはきちんと自己管理しているからこそ、3年かけた今がある。そして、自己管理しきれぬトラブル要因が発生した際も、上記のことで乗り越え続けている。もちろんそれで安心するつもりはないが、おそらく今後もこの形が私たちに一番合っているだろう。


 何より、楽しいという気持ちは、必ずプレイしている仲間に伝播していく。逆に疲弊し、義務感で動かしていると必ずそれも伝わってしまう。大切なのは、


「自分たちが楽しめているか」


 そこだと、思うのだ。


 だからこそ、「ちょっと疲れたな、無理をしているな、何か色々我慢してないかな?」と自覚できたら、ちょっと立ち止まってみてほしい。


 あまりに辛い現実が押し寄せているのなら、開催する間隔を空けたっていいし、少し休んだって良いのだ。実際、私たちもゲームが終わったら、一週間は必ず活動のことを『絶対に何もしない』ということを実行している。そのメリハリこそが大切なのだ。


 ポイントは、無理をしないこと、休むべき時は休むこと。

 楽しくないのにゲームを続けるほど、悲しいものはないのだから。


 ずっと楽しくゲームを運営もしてほしいからこそ、今回は少しこういった話も書くことにした。参考にして頂ければ幸いだ。

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