第7話 LARPは携帯力が場を制す!
LARPゲーム、特に中世ファンタジー世界でやっていると、痛烈に実感することがある。それは、
「うおおお!! も、もっと携帯したいいぃぃぃ……!!」
そう、携帯力。
というのも、魔法を唱える上で欠かせない魔法書や構成要素になる道具たくさん、水の小瓶、包帯、針っぽいもの、修理するなら道具、錬金用の道具も、いやいや盗賊をするなら盗賊の七つ道具だって……
それだけではない。ゲーム中、手に入れたいと思うものは、きちんとキャラクターが所持していないと持っていることにはならないのだ。これは面白い所でもあり、少々面倒な部分でもあるだろう。
よく、盗賊が宝箱の罠を解除して鍵を開けたりするものだが、なぜ宝箱ごと持っていかないのだろう? そう思った読者諸兄も多いのでは無いだろうか。
答えは簡単、かさばるからだ。小脇に抱えるにしても、その後の冒険は命がけなのに、いちいち地面に置いていては面倒なものなのだ。というか命にかかわる。てか端的に言うと死ぬ。
携帯するならコンパクトに、なおかつ身につけられるものを。それをまさに実践しているのが、このLARPゲーム(厳密にはおそらく、リアルを追求するノルディックLARP式ゲーム)だろう。
そしてそれに呼応するように、様々なLARPゲーマーが既に、素晴らしいコンパクトかつ携帯に優れた品々を作り出したり、編み出したりしている。
例えば、投げナイフ。この投擲武器はリアル回避で避けなければならないため、意外と不意打ちに有効な武器なのだが、いかんせん持ち歩きに苦労する。袋に入れているとさっと投げられないのだ。
そこで、投擲ナイフを収納するために、体幹からクロスした革ベルトに投げナイフを仕込んだり、セクシー女子ならば、太ももの横にそっと偲ばせるのである。淑女のたしなみである。うんうん。
他にも、小瓶など小さなものを携帯するために、よく使われるのがベルトに下げた白い布の巾着袋だ。これは手軽に携帯出来て非常に便利である。
ただ、切羽詰まった状況で速さを求められるとなかなか開くのにてこずったりするため、LARPゲームに慣れた者だと、本革や合皮で大きな腰に回すベルトを作り、差し込んでホールドする形の携帯に優れ、すぐに取り出せるものを作り出したりするのだ。
LARPゲームおいて、そういえば、こんなことがあった。
スタッフが敵として魔法使いのNPCをやっていて、冒険者の中で魔法使いのエルフであるラズニーが魔法を唱えようとしていた。これは魔法の早打ちになる。どっちが発動するか、これはなかなか興味深いものだった。
スタッフは魔法を詠唱するための本を開いてはいたのだが、魔法を唱えるためには構成要素を特殊な作法で使わねばならない。もたもたとしながら、彼は小袋に手を突っ込む。
しかし、次の瞬間───
「AERA ELEMENTUM MOVO DISCRIM!! ガスト・オフ・ウィンド!!!」
ラズニーの詠唱が決まり、スタッフは轟音を立てた突風により、数メートル吹っ飛ばされた! そして彼女の手にはもう、構成要素の奥義と鳥の羽3枚が握られていたのだ。呪文詠唱を予め暗記しており、さらに構成要素もローブの下にある服に縫い付けられたホールドベルトによって、即時取り出せるようになっていたことが彼女の勝因だった。
LARPゲームにおいて、何事も遅きことは、命に関わる。
それをスタッフ共々、しみじみと実感した戦いであった。
だからこそ、ゲームを有利にするためにも、携帯性を向上させることは非常に有効だということをここで提唱しておきたい。手作りが苦手ならば、100均で無地アースカラーの巾着袋を買い、プリントがなされているなら裏返し、ベルトに通せば良い。それでOKだ。
また、すぐさま取り出したりしないと思うならば、戦利品を集めて保管しておくリュックを持っても良いだろう。こういったものも、古着屋などで探すと結構安価で転がっていたりする。おすすめは合皮の、茶色や黒といったベルトに通すウェストバッグや、リュックである。
手作りに精を出すならば、何かしらのアイテムを小瓶に入れて、ペンダントにしても面白いかもしれない。イヤリングが何かの道具で、すぐに外して使えるなどもなかなか面白い。なんにせよ、安全性さえ担保されていればアイディアは無限大だ。
是非、LARPゲームに参加する際には、こういった携帯性にも注目して頂きたい。きっと、あなたのゲームプレイを快適にしてくれることだろう。
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