第397話 字数稼ぎはほどほどに

 陳宮の考えた『掎角の計』は、呂布の気まぐれによりその存在を抹消された。


 もはや呂布軍には持久戦以外に打つ手がないのだろうか?


 いや、まだある。


 他人に頼るという超情けない、とっておきの策が彼らには残されていた。



「「――――呂布将軍。」」


 呂布の家を訪ねた二将軍がいる。

 許汜きょし王楷おうかいである。


「・・・何だ?」


 彼らの来訪に、呂布は不機嫌そうに言った。


 近頃、呂布はストレスのせいか、日夜酒宴に溺れており、妻や妾とたわむれる、楽しくも自堕落な日々を過ごしていた。

 今日も朝からキャバクラタイムを楽しんでところへ、むさ苦しい男二人がやって来たものだから、呂布は不機嫌不愉快ブーブータンであった。


 そんな彼に対し、許汜がまず言った。


聞説きくならく(=聞くところによると)――――淮南の袁術は勢力盛んで調子良く、勢い絶頂、エスクタシーとのことです。」


 次いで王楷が言った。


「将軍の姫と袁術のドラ息子の婚約の件、まだ破談になったわけではございませぬ。」


 その後、許汜が言った。


「何故将軍は袁術の元に使いを送りませぬ?袁術と縁談を結び、彼の力を借りれば、曹操軍など一網打尽です。」


 んでもって、王楷が言った。


「我らが使いの者となりますので、袁術に助けを求めてくりくり。」


 そして最後に二人で言った。


「「オナシャス!!」」


 上記の作者の露骨な字数稼ぎによる二人の会話を聞いた呂布は、


「なるほど。確かにあの縁談はそのままだ。―――お主たちの言う通り、縁談がまとまれば、曹操軍など恐るるに足りん。・・・まさに良計だ。」


 と、大きく頷いた。


 呂布は暗中に、一つの光明を見出したようであった。


「殊勝殊勝。よくぞ名案を申してくれた。――では早速、袁術へ宛て、書簡をしたためるから、それを携えて、淮南の袁術へ急いでくれ。」


 彼の言葉に両将は、


「「一命を賭して、この任務、遂行したく存じます!!」」


 と、はりきって支度を始めたのであった。

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