第398話 騒がしくしない

 かくして、淮南の袁術へ助けを乞うことになった呂布一味であったが、下邳かひの城は敵の重囲にあり、通路は劉備が関所を設けて、往来を厳しく監視している。


(この囲いを突破するのは容易ではない・・・。)


『敵中横断』


 これを成すには、それ相応の力がいると呂布は判断し、直ちに張遼ちょうりょう郝萌かくぼうの二大将を呼び寄せた。


「両名(許汜と王楷)を淮南へ送るように。」


 主君の命に二大将は、


「「合点承知!」」


 と、意気込んで任を受けたのであった。


 で、


 敵中横断は、もちろん、当然、当たり前のように深夜に決行された。


 ジャーン!ジャーン!ジャーン!


 と言うような突撃の銅鑼の音は鳴らさない。

 敵に悟られぬよう、静かにそそくさと超スピードで敵陣を駆け抜けなければ、包囲殲滅の陣を受けて彼らは地球のチリとなってしまうのである。


 決死隊は駆けた。

 必至に、全力で荒野を駆け抜けた。


 途中の関所で敵に囲まれそうになったが、張遼、郝萌の奮闘により、彼らは曹操の布いた包囲網を越え、劉備の陣も突破したのであった。

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