第384話 退くことも大事

「陳登の奴・・・俺に報告した話とそちの云っていることがまるで違う。・・・一体どういうことだ?」


 陳宮の話を聞いて、呂布は胸がざわついた。

 しかし、


「・・・ともかく蕭関の砦へ行き、奴の言い訳を聞くとしよう。」


 と、呂布は陳登への信頼をなくすことはせず、陳宮の部隊を合わせ、蕭関へ向かうことにした。



「―――ようやく着いたか。」


 疲労を重ねて蕭関の砦へたどり着いた呂布御一行であったが、ここで彼らは、またしても疲労を重ねることとなる。

 砦に近づくや否や、砦の内から一斉に曹操の兵が不意を突いて攻めかかってきたのだ。


「!? しまった!すでに蕭関は敵の手に落ちていたか!!」


 疲労困憊の呂布軍に疲れ知らずの曹操軍が襲いかかる。


「一刺し!串刺し!メッタ刺し!地獄の横丁お巡りを!」


「クルクルっとひねって!パパパっと刻んで!ダーンッと潰してハイお終い!・・・くたばれ!!」


「下下上上右左右左ABで殺人コマンド実行だ!お前を粉微塵にしてやる!!」


 曹操軍の襲撃に、呂布、陳宮の兵は潰乱混走かいらんこんそうを重ね、彼らは徹底的な打撃を受けてしまった。


「なんてこった・・・こりゃたまりませんわ!!」と、あの天下無双の呂布でさえ、闇を頼りに逃げ惑い、命辛々、山間の岩陰から出てきたほどである。


 窮地を脱した兵は少なく、皆ボロボロで、心身ともに困窮を極めていた。


「同士討ちに、蕭関での曹操軍の不意打ち。我が軍の被害は大変なモノでございます。」


「ここは一旦、徐州の城へ戻り、善後策を講じることが最善でしょう。」


 陳宮の言に、呂布は顔を悔しさで滲ませながら、


「・・・お前の言う通りだ。徐州の城へ急ぐぞ。」


 と、彼の意見を受け入れ、悄然と徐州へ向かい始めたのであった。

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