第377話 歴史は繰り返されるもの

許褚きょちょ!カムヒアー!!」


「イエッサー!!」


 曹操の呼びかけに、許褚は忠犬の如く、颯爽と彼の前に姿を現した。


「我々の目的は何だ!言ってみろ!!」


「蕭関に向かうことであります!!」


「よろしい!―――では、今の我々の悩みは何だ?言ってみろ!!」


「目の前の泰山で陣を構えている盗賊たちの存在であります!!」


「よろしい!―――では、その盗賊たちをどうする事が最善だと思う?言ってみろ!!」


「奴らを残さずぶっ殺して、この地上から消し去ることが最善と思われます!!」


「よろしい!―――では、その役目を誰に任せるべきだと思う?言ってみろ!!」


「拙者にお任せ下され!!」


「声が小さいもう一度!!」


「この許褚にお任せ下され!!」


「もっと腹から声を出せ!このボケナスがッ!そのドテ腹はただの飾りか!おおんっ!?」


「このォ!許褚にィ!お任せェ!下されェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


「うるせぇ!よろしい!行け!奴らをぶっ殺して来い!!」


「サー!イエッサー!!」


 曹操の命に従い、許褚は手勢を率いて敵中へと突撃した。


 泰山には孫観そんかん呉敦ごとん尹礼いれい昌豨しょうきなどの賊将が三万の手勢を持って陣を布いており、


「都の弱兵に負けてたまるか!山岳戦の恐ろしさ、とくと味あわせてやる!」


 と、威を張っていた。

 ところへ、許褚が一隊を率いて攻めて来たので、


「よっしゃー!恐怖の山岳戦法炸裂じゃー!」


 と、彼らは馬首を揃えて、彼に喚きかかってきた。


 その結果は――――いつものパターンです。


 もうね、これはね、何度書いたかね、分からないほどのね、いつものね、パターンですよ。


 孫観は敗れ、呉敦は負け、尹礼は倒れ、昌豨は泣いた。


 ようするに、賊将の全員が許褚の前に等しく敗れたのである。


 これにより、「あーん!ママーーーッ!!」と、山兵は、つなみの如く、蕭関へさして逃げくずれた。


「今だ!追撃開始!――――それと、曹仁そうじん!!」


「はっ!!」


「お前は兵三千を連れて、間道より小沛の城へ向かえ!小沛の城をからめとるのだ!」


「かしこまりっ!!」


 曹操の命に従い、曹仁は素早く陣形を整え、小沛の城へ攻めかけるのであった。

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