第376話 意見を集めること

 ピョーンとなってピューンとなってバキューンとなったので、数日後、劉備は曹操の本軍と無事に合流することが出来た。


「劉備殿、無事でなによりであった。」


「ありがとうでござる。」


「今夜はゆっくり休まれるが良い。疲れを落とし、明日への精気を養い給え。」


「感謝至極にござる。」


 曹操は劉備を丁重に迎え入れ、彼はその好意に甘えて心身を休ませたのであった。


 で、


 それからさらに数日後。

 曹操の本軍が済北さいほくへ到着すると、隻眼となった夏候惇が第一に挨拶しに来た。


「ご着陣を祝します。」


「うむ。・・・して、その眼はどうした?」


「喰べました。」


「・・・はっ?」


「先の戦場でペロリと喰べてしまいました。」


「はぁ!?」


 理解不能!理解不能!理解不能!状態の曹操に、夏候惇が委細を話すと、


「ハハハハハ!これは面白い!人類史始まって以来、自分の眼を食した男はおそらく汝だけであろう!」


「『身体髪膚しんたいはつぶ、これ父母に受く』という!」


「汝の孝道は大陸一だ! 都に帰り、その傷を癒すが良い!」


 と、笑って彼を褒め称えたのであった。


 で、


 その後、曹操は次々と謁見してくる諸将と挨拶を交わしながら、彼らから意見を徴した。


曹操「呂布の方はどのような情勢か?」


A「呂布は焦っております。」


B「自分の勢力を拡大すべく、彼は味方を集めました。」


C「それらの多くは強盗や盗賊などのチンピラ集団です。」


D「しかし、その数は膨大です。」


E「そのため、彼の軍は勢い隆々たるモノがあります。」


F「ご注意を。」


曹操「むぅ。・・・では、小沛の城はどうか?」


G「呂布の部下である『張遼』と『高順』の二将が立てこもっております。」


H「Hです。」


 Hが言い終わると、曹操は賢者タイムに入った。


「・・・ではまず、劉備殿のために小沛を獲り戻すとしよう。」


 長い熟考の末、彼は一命を下し、劉備と共に山東の境へ突出して、蕭関しょかんの方をうかがうことにしたのであった。

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