第344話 悪いことは続くもの
「曹操さん許して。」
「許~~~すッ!!」
ガッシリと互いに固い握手を交わしたのは曹操と呂布である。
袁術という難敵を打ち破るため、二人は内心では互いを警戒しながらも、協力関係を築いたのであった。
これにより、曹、玄、呂の三軍が一体となった。
「「「三位一体!無限侵攻!!」」」
彼らは続々と南進を続け、その陣容には一部の隙も無かった。
「――――すわわっ!!」
国境で
「一大事」とばかりに伝騎は飛ぶ。
一騎来たら二騎が来て、二騎が来たら三騎が来る。
早馬、早馬、早馬馬!と袁術のいる
「大変でち!曹、玄、呂の三軍が一体となって攻めて来まちた!!」
「何っ!? その報は真か!!」
「真でちゅ!」
「ええーーーい!何たることじゃ!この大変な時期に!!」
三軍の進行を聞いて袁術は驚倒した。
今、彼のいる淮南の地は天災に見舞われていた。
諸所の河は氾濫し、崖は崩れ、野には大小無数の湖が出来ている。
そのため、交通の便が非常に悪くなり、馬も人も車も泥道に悩むこと一通りではなかった。
そんな大変な時期に三軍が一体となって攻めて来たとあっては一大事である。
「ともかく、防戦の準備を開始するのだ!緊急配備につけ!」
袁術は即刻大軍議を開き、議論に議論を重ねた。
ところに、またしても早馬が届く。
「第一防衛ライン突破されました!!」
警報である。
報を聞いた袁術は顔をこわばらせながら、自ら五万の騎馬軍を率いて敵を食い止めんとした。
ところへ、またしても早馬が届く。
「第二防衛ラインも突破されました!」
敗報である。
聞くに、彼の臣下である
全く、微塵も、これっぽっちも面白くない注進(=事件の報告)である。
(あかん。このままでは敗れる。)
袁術の顔色が悪くなるたびに軍の空気も悪くなる。
ところへ、またしても早馬が届く。
「ご注進!ご注進!」
「またかっ!今度は何じゃ!!」
「はっ!呉の孫策が船手を揃えて大江を渡り、こちらへ攻めよせて参ります!!」
「なんとっ!孫策まで来たか!」
西南からの急報を聞いて仰天する袁術。
彼は、先頃、孫策から受けた無礼な手紙を思い出して身を震わせた。
「恩知らず!忘恩の賊子め!!」
キーキーと子猿のように喚き散らす袁術であったが、喚いたからと言って事態が動くわけではない。
彼は不眠不休で軍議を進め、打開策を講じて敵軍の進攻に備えるのであった。
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