第334話 味方が多いと安心するもの

 七路七軍は一斉に動き出した。

 天は雨雲により黒色に染まり、大地は大兵の群れにより黒く染め上げられている。


 七軍が徐州城に近づくと、やがて雨雲より雷鳴が鳴り始めた。


 ゴロゴロゴロゴロゴロ~~~ン!!


 一天晦冥いってんかいめい

 漆黒の闇に青白い雷鳴が瞬く度に、城壁の一角がパッと明滅して見える。

 そして、サーッという雨音を皮切りに、戦は始まった。


 七路より迫る大軍は喚声を上げて来た。

 そして、その声には勢いがあった。


『戦いは数である。』


 二十万もの味方がいるという安心感が、兵たち一人一人を鼓舞している。

 彼らは勢いそのまま、雪崩のように城壁へと迫った。



「―――――城内への進行を許すな!矢を放て!撃てっ!撃てっ!撃てーーーーっ!」


 呂布の指揮の下、徐州兵たちは防戦に徹した。

 矢だけでなく、石や岩を城壁の上より投げつけ、登り迫る敵兵を撃退していく。


呂布軍「撃退!撃退!撃退!撃退!撃退!」


袁術軍「侵略!侵略!侵略!侵略!侵略!」


 双方互いに譲らず、二軍の決戦は昼間の内には決着がつかなかった。



 ―――――夜になっても戦は終わらなかった。

 戦況は変わらず、城壁での攻防が続いている。


「石と矢の補給を怠るな!敵は待ってはくれんぞ!!」


 攻防の隙を突き、呂布軍が軍備を整えていると、前線の兵から、呂布の元に一報が届いた。


「呂布将軍!敵の様子がおかしかです!すぐに来てくだちゃい!!」


 兵の様子に呂布は急いで前線へと向かったのであった。

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