第333話 助かる道を探すこと
袁術に従い続ければ破滅へ直行、真っ逆さま。
袁術を裏切ればホップ・ステップ・ジャンプである。
陳珪の甘言に、韓暹の思考回路はショート寸前、泣きたくなるようなmoonlightであった。
「え、袁術を裏切れと・・・。」
「左様。逆賊である彼を滅ぼせば、帝のおぼえもめでたいし、呂布も貴殿を丁重にお迎えすると申しておりましたぞ。」
「し、しかし、いくらなんでもそれは・・・」
踏ん切りがつかず、煮え切らない韓暹に向かい、陳珪は甘言を続ける。
「韓将軍は第七将軍である楊将軍とも親しいのでござろう?」
「第六将軍の韓将軍と第七将軍の楊将軍。それに予州の劉備軍に徐州の呂布軍が加われば、袁術軍など恐るるに足らず。」
「力を合わせ、一揉みに駆けてやれば、猿の首など半日であげられましょう。」
「さぁ、如何しますかな?」
甘い、甘い蜜の誘惑。
その甘い誘惑に、韓暹は、「ハァーハァーハァーハァー・・・」と汗を滝のように流しながら苦悶していた。
そして、そんな彼に対し、陳珪はとどめの一撃をお見舞いする。
「・・・さあさあさあさあ!
陳珪の喝に、韓暹は血が滴らんばかりに拳を握りしめた。
(ヒイイイイイ!言ってやるゥゥゥゥゥ!俺も男だァァァァァ!覚悟を決めたァァァァァ!乗ってやるゥゥゥゥゥ!コールしてやるゥゥゥゥゥ!!)
(コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!コール!)
(コールと言うぞォォ~~~~!!)
「コ・・・」
「コ?」
「う・・・うぅ・・・(ダメだぁ!恐ろしい!ビビッちまって声が出ない!・・・しかし、ここで言わねば俺は終わりだ!言え!言うんだ俺!)」
そして、覚悟を決めた韓暹は息を大きく吸い込み、一呼吸置いた後、ハッキリとした眼で、ハッキリとこう呟いた。
「・・・コール。」
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