第287話 火は風に吹かれる
夜の帳が下りるとき~♪
11人のタフガイが~♪
城の城壁下へとやって来て~♪
城への侵入試みる~♪
成功すれば恩賞が~♪
失敗すれば首チョンパ~♪
彼らの運命どうなることやら~♪
はてはてふふ~ん♪
恩賞目当てに集まった百名を越える志望者の中から選び抜かれた十人のタフガイたち。
そして、彼らを率いるのは期待の新人『
陳武と十人の消耗品を合わせた十一人の
隊長の陳武が見るに、城壁は石垣ではなく、高温の火で土を焼いた『
しかし、何百年もの風雨に
磚と磚の間の土は崩れており、隙間や草が生えていた。
そこに陳武は目を付けた。
「――――よいか皆の者。俺が先に一人で城壁を登り、縄を降ろすから、それを使って登ってくるのだ。それまでは敵兵の見張りをしておけ。」
「了解です、隊長。・・・しかし、この城壁をどうやって登るのです?」
「この短剣を使う。短剣を磚と磚の隙間に挟み、それを足掛かりとして城壁を登るのだ。」
「なるほど。さすが隊長です。・・・では、ご武運を。」
「うむ。では行ってくるぞ。・・・そいやっ!!」
陳武は部下たちに説明した通りに、一歩一歩、短剣の梯子を作りながら城壁を登って行ったのであった。
「――――火だ!火事だ!火災だ!炎上だ!あちこちが真っ赤に燃えているぞーーー!!」
「あっちっち!火だるま!火だるま!煉獄火炎だ!!」
「火っ・・・火っ・・・火ーーーーーっ!!・・・何てくだらないこと言える暇なんてありませんよ・・・火えぇぇぇぇぇ!!」
食糧庫から櫓下から楼下から、あっちらほっちらどちらやさっちらと、兵たちが一斉に騒ぎ始めた。
「何事かっ!!」
この事態に、慌てて太史慈が現場に駆け付けた。
「落ち着け!騒ぐな!冷静になれっ!・・・これは罠だ!敵の計略に違いない!落ち着いて火を消すのだ!!」
彼は将軍台から叱咤して消火活動に当たったが、混乱は収まらない。
この日は風が騒がしかった。
火は風によって火元を離れ、別の場所へと運ばれていく。
「ばよえ~ん!!」と、ぷよぷ〇真っ青の連鎖反応により、火は加速度的に各所に広がっていった。
そして、その時を見計らって孫策軍が動き出した。
「しょ、将軍!大変です!孫策軍が城の三方より攻めてきました!!」
「なにっ!? い、いかん!すぐに戦うのだ!孫策軍を追い返すぞ!!」
「し、しかし将軍!この火はどうします!放っておいては、火はますます燃え広がり、我々は焼け死んでしまいますぞ!!」
「むむむ・・・。」
太史慈は唸った。
敵の対応と消火活動を両方同時にこなす事は出来ない。
戦闘か、消火か?
にっちもさっちもいかなくなった太史慈軍はパニック状態に陥った。
そして、・・・
「将軍!城門が破られました!これ以上は防ぎきれません!!」
「むむむ・・・もはやこれまでか・・・万事休す。」
「将軍!諦めてはいけません!北方は沼地のため、敵は攻めてきておりません。北方から脱出するのです!!」
「そうか・・・よし!では北の城門より城を脱出するぞ!皆の者!俺についてこい!!」
太史慈は将軍台から駆け下りながら、部将たちに命令を下して、猛風吹き荒れる中、北門へと馬を走らせたのであった。
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