第283話 情報が全てである

 一騎打ちより、一夜明けた。

 孫策は軍を敵陣へと推し進め、劉繇軍と戦を開始した。

 その戦の結果はと言うと・・・孫策軍の圧勝であった。


 戦だけではなく、全ての物事に通ずることだが、『情報』が全てである。


地形

陣形

兵力

兵糧

兵の士気

etc・・・


 昨日の偵察活動にて敵の情報を得た孫策にとって、この大勝は当然の結果であった。


(霊陵城がもぬけの殻だ!)


 敵の本拠地が空だと気付いた彼は、一部の兵力を分けて曲阿きょくあ方面から霊陵城の後ろを突き、城を乗っ取ったのである。



「――――こうなっては仕方ない。秣陵まつりょうまで軍を引き揚げ、孫策を迎え討つほかあるまい。」


 狼狽した劉繇の軍撤退命令に、一人呆れる武将がいた。


(だからあの時、孫策に襲いかかるべきだったのだ!「罠だ罠だ!」などと腑抜けたことを抜かすからこうなったのだ!うちの殿は千載一遇の好機を逃したフニャチン野郎だ!!)


 太史慈は憤慨したが、それをおくびにも出さずに劉繇の指示に従うことにしたのであった。


 劉繇軍は一夜に野を払って、秋風の如く走った。

 しかし、・・・


「や、夜襲だ!奇襲だ!敵襲だ!!孫策軍がセクハラしに来たぞ~~~ん!!」


 疲れている劉繇軍に孫策軍は夜襲を仕掛ける。

 そして夜が明けると今度は、


「に、日襲だ!奇襲だ!敵襲だ!!孫策軍がパワハラしに来たぞ~~~ん!!」


 と、今度は昼間に奇襲を仕掛けて来た。


 昼、夜、昼、夜、昼、夜、昼、夜、昼、夜、昼、夜と攻め続けられ、劉繇の大軍は四分五裂しぶんごれつにされてしまった。


 劉繇もこれにはすっかり戦意を喪失してしまい、荊州の劉表の元へと落ち延びて行ったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る