第258話 部下には優しく接するべき
・劉備軍三万(大将『劉備』、副将『関羽』)
・袁術軍十万(大将『
両軍は
兵の数の面で言えば、袁術軍が圧倒的に有利であるわけだが、何もそれだけで勝ち星が上がるわけではない。
戦上手の劉備と文武に優れた関羽。
二人は数の不利を物ともせず、戦を優勢に進めていた。
初戦。
劉備は自ら陣頭へと進み出て、敵を挑発「べろべろべー!」した。
この劉備の挑発に、副将の荀正は、
「匹夫の玄徳!我らをなめるな!」
と、馬を駆け出し喚き散らした。
挑発に乗ったと確信した劉備は軍を下げ、荀正の部隊を近場にあった川岸へと誘い込んだ。
そして、誘い込んだ荀正部隊を関羽の部隊が包囲する。
「うおうーーーッ!!」
咆哮一番、関羽は愛刀の青龍偃月刀を高く振りかぶり、荀正に対して真っ向から降りおろすと、ブシャシャーーー!と血しぶきが宙を舞った。
荀正が討たれたことにより、袁術軍は大混乱に陥った。
「なんちゅうこってたい!退けーーー!逃げろーーー!ろーーーーッ!!」
南陽の全軍は
(劉備軍侮りがたし!)
と、紀霊は初戦以降、むやみに攻撃を仕掛けることをしなくなった。
――――さてはてふふーん。
こちらは徐州の城であるが、城の留守を任された張飛はと言うと・・・
「者ども、警備を怠るではないぞ!」
と、元気溌剌!男浪名民死ー!で、彼は日夜、警護の任を見事に務めていた。
(兄貴たちも頑張っているのだ!俺も自分の務めをしっかりと果たさなければ!!)
彼は義兄二人の苦労をしのんで、牀で長々と寝るという怠慢をすることもなかった。
予想以上の張飛の頑張りに、留守の兵たちも、
「さすがは張飛将軍だ!ヒューーー!カックイイ!!」
と、彼と共に忠義を尽くしていた。
このように、彼の一手一足により軍律は守られていた。
張飛は、次の日も、明くる日も、明後日も、明々後日も、あんな日も、こんな日も、どんな時も♪どんな時も♪城が平和であるために~♪「好~きな酒は止・め・た~♪」と、言える気持ち抱きしめていた。
――――今日も彼は城内の防塁を見廻っていた。
もちろん彼だけではない。兵たちの皆もよくやっていた。
「感心!感心!皆、今日も頑張るのだぞ!!」
「「ほっほほーーーい!!」」
彼は士卒の中を褒め歩いていた。
そんな時、彼の心に、ふとある気持ちが浮かび上がった。
(・・・何か申し訳ないな。)
張飛は、ただ彼らを言葉だけで愛想よくしているのが申し訳なくなった。
(功績には賞を与えるべきだ。)
部下を思いやる優しき思い。
この思いが彼の大失態へのきっかけであった。
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