第257話 自意識過剰はほどほどに
南陽の袁術は、今、怒りに燃えていた。
その理由は急使により届けられた、曹操からの手紙を読んだことにある。
袁術殿
親友たる君に忠告を
高貴なる君に忠言を
劉玄徳は請うている
帝に奏して請うている
自らの野望を遂げんがため
南陽侵略の許しを請う
沈黙は金と世は言うが
黙視するのは忍びなく
ここに一筆したためる
くれぐれも油断なされるな
城中の
「聞かれたか!一同!」
彼は吠えた。
声を大にして、面を朱にして罵った。
「劉玄徳が何とする!奴は田舎者!
「いつの間にか徐州の太守の地位に坐ったことさえ奇天烈であると思っていたのに、今度は身の程をわきまえず、この南陽を攻め入らんとしている!」
「底辺ゴキブリ野郎に、南陽の地を
手紙にも書かれている通り、袁術は名家の生まれの高貴な者である。
そんな彼は傲慢で高飛車な男であった。
田舎者の劉備が高貴な自分の領土を侵すことは、『天に唾を吐く下賎な者の振舞いである。』と彼は強く憤った。
「行けや!徐州に!」
袁術が命を下すと、その日の内に、十万余騎が南陽の地を立って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます