第179話 罪には罰が必要である

 董卓は死んだ。

 自身が最も信頼していたであろう呂布に殺された。

 董卓が死んだことにより、その場にいた全員がときの声を上げた。


「「万歳!万歳!万歳!ばんざーい!ばんざーい!うわおーーーう!ばんざーい!!」」


 しかし、皆が喜びの声を上げる中、1人冷静な男がいた。


「静まれっ!喜ぶのはまだ早い!董卓は死んだが、董卓の一族および腹心の李儒がまだ残っている!奴らを成敗するのだ!喜ぶのはその後だ!!」


 叫んだのは呂布であった。

 今しがた董卓を殺した呂布は皆を叱責し、気を引き締めさせると、李粛と皇甫嵩を引き連れ、約3万の兵と共に董卓の残党兵がいる郿塢城へ向かった。


 呂布たちが郿塢城へと向かっている間に、王允は丞相府にいる李儒を殺しに向かった。

 王允は丞相府へ着くと、兵を指揮して、丞相府からの逃げ道を完全に塞いだ。


「逃がすな!逃がすなよ!絶対に李儒を逃すでないぞ!!」


 董卓の悪行を助けていた李儒を逃すわけにはいかないと、王允の兵たちは必死に彼を探した。

 そして・・・


「ひぃぃぃぃ!お助け~~~!!」


 情けない声を上げながら、李儒は、王允の兵たちによって屋敷の外に引きずり出された。

 そして、王允の元へと連れて行かれた彼は許しを乞うた。

 しかし、それは無駄というモノである。


 万民を苦しめた罪は万死に値する。


 罪には罰を。


 王允は李儒の首をスパッと刎ねて、彼の首をさらし首としたのであった。



 一方此方は郿塢城。

 郿塢城には郭汜かくし李傕りかく張済ちょうさいなどの大将が、一万余名の兵を擁して留守を護っていた。

 しかし、・・・


「なにっ!? と、董卓様が死んだだと!!」


「は、はい!呂布将軍の裏切りにより、無残な最期を遂げられました!」


「しょえぇぇぇぇ!!りょ、呂布将軍が裏切っただと!!!」


「左様です!しかも、呂布将軍は三万の兵を引き連れ、郿塢城に攻め入ろうとしております!!」


「な、なんだとーーーー!!」


 彼らは早馬による報を聞いて色めきたった。

 そして、呂布が城にやって来る前に、彼らは兵を引き連れて、涼州りょうしゅう方面へと落ちて行ったのであった。

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