第171話 人生は二転三転するもの

 李儒の『絶纓の会』の話を聞いて、董卓は呂布を許すと同時にあることを考えた。

 それは貂蝉を呂布にくれてやるという事であった。


『帝の位と1人の女性』


 二つを天秤にかけた時、どちらが重いかは彼にとっては明白であった。


「・・・李儒よ。今のお前の話を聞いて呂布に貂蝉をくれてやろうと思うのだが・・・如何であろうか?」


「それは結構なことです!呂布に貂蝉をくれてやれば、あのアホは太師に感激して『絶纓の勇士』と同じ気持ちになるに違いありませぬ!」


「うむ。・・・では、李儒よ。呂布の屋敷に赴き、奴にこの件を伝えてくれ。頼むぞ。」


「御意!」


 董卓の命を受けた李儒は政務室を離れ、呂布の屋敷に出向いた。


 呂布は李儒が来た当初はおどおどとして落ち着かない様子であったが、彼の話を聞くうちに緊張も解け、最後には満面の笑みを浮かべていた。


「今の話、本当であろうな!!」


「ああ、嘘偽りなく真である。董卓太師はこうおっしゃった。『呂布に貂蝉をくれてやる』と。」


「おおお!おおお!おおおおおおお!おーーーーーーッ!やったぜ!!」


 呂布は手を叩いて喜び、貂蝉を手に入れた喜びを体を使って表現していた。

 そして2人の仲裁を成し遂げた李儒は、


「これで肩の荷が下りた。・・・あ~~~~疲れた~~~~~!!」


 と安堵の言葉を呟いたのであった。



 これにて董卓と呂布の喧嘩は終了!・・・とはいかない。


 彼女は決してそれを許さない。


 天変地異が起ころうとも、彼女は決してそれを許しはしない。


 2人の関係を崩壊させるまで、彼女は魔女であり続けるだろう。


 そして魔女は今、2人の関係を崩壊させるための最後の一手を打とうとしていた。

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