第101話 いらないモノは燃やそう

 発令の翌日。

 将兵たちは民たちを連れ、長安へと向かった。

 長安へと向かう、ゆりかごから墓場一歩手前までの民たちは、希望の見えない明日に向かって歩いていた。

 そんな彼らに暴兵たちは鞭を振う。


「歩け、歩け、歩け!ノンストップだ!立ち止まる奴は・・・えっと・・・立ち止まる奴は・・・その・・・何かするぞ!!」


「うわーーー!何かされたくない!何かされたくないよーーー!」


 民たちは歩けぬ病人たちや動けぬ者たちを切り捨て、前へ前へと歩を進めた。

 そして、病人たちや動けぬ者たちは・・・・・・何かされてしまった。

 民たちは何かに苦しみ、何かを叫び、何か大変な目にあっていたのであった。



 同日。

 董卓は屋敷を引き払うと、馬車に乗り込み、李儒に下知を飛ばした。


「李儒!放火!」


「はい!」


 阿吽の呼吸の如きやりとりで、李儒は董卓から頂いた命令を実行に移した。


 李儒は洛陽に残っている全兵に松明を持たせ、こう述べた。


「全兵!燃やせ!」


「はい!」


 良く訓練された兵たちは、李儒から頂いた命令を実行に移した。

 兵たちは洛陽全土に広がる建物全てに火をつけて回った。


 火をつけた理由は、連合軍に対する焦土作戦のためであった。

 「連合軍には何一つ渡さん」という董卓の常軌を逸した判断により、洛陽全土が火の海に包まれた。

 宮中から火が上がり、城門は燃え盛り、住宅は焼け落ち、400年続いた漢王朝の歴史が燃え上がった。

 そして、火の海に押し出されるように、様々な身分の者たちが洛陽の外へと追い出されたのであった。



 同刻。

 呂布は董卓からの密命を受け、墓荒らしをしていた。

 一万余名の百姓と労働者、そして数千の兵を配置して、皇帝の墓を掘り起こしていた。

 皇帝の墓と皇族の墓には遺体と共に、金銀財宝が埋められているからである。

 その全てを掘り起こし、荷車に載せると、その数は数千輛にも及んだ。

 その価値は何千億円になるか想像も出来ないほどであった。

 そして、全てを掘り終えた呂布は、財宝全てを長安へと運ばせたのであった。

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