第100話 引っ越し作業は大変

「こまっちゃうナ~♪遷都させられて~♪

 どぉうなるの~♪まだまだ乱世かし~ら♪

 かっなっしいような~♪こわいような~♪

 ドッキドッキしちゃう~♪民の胸~♪

 役人に聞いたら~♪ なぁんにも云わずに笑ってぇいるだけ♪

 こまっちゃうナ~♪遷都させられて~♪」


 洛陽の市民たちは遷都の報せを聞き、驚きを爆発させていた。

 しかし彼らは驚くだけで、誰一人文句言うことはなかった。

 彼らは先日の董卓の暴虐を目の当たりにして完全に萎縮してしまい、董卓の大方針に黙って従う道を選んでしまっていた。



「李儒!おいこら李儒!遷都の発令は済んだか!!」


「もちろんですよ、董卓様。洛陽の民たちは皆、引っ越しの準備を進めており、準備が整い次第、長安へと引っ越すでしょう。」


「ぬはははは!よろしい!・・・っと言いたい所だが、それは貧乏人だけの話であろう?富豪たちは財産を隠して、別の地に引っ越すかもしれん。」


「た、確かにそうですな。」


「であろう。・・・李儒よ。丞相府も朝廷も金銀がすでに乏しかろう?」


「そうですな。・・・あっ!なるほど!」


「理解したか?よしっ!ならばすぐに行動に移るのじゃ!!」


「御意!!」



 董卓の命令を受け、李儒は富豪たちから財産を没収すべく、5千の兵を集めた。

 そして集めた兵たちを洛陽市中に放ち、遷都と軍資金の徴収と称して、富豪から金を巻き上げようとした。


「金だっ!金を差し出せっ!」


「ひょえ~~~!勘弁して下さい!」


「やかましい!全額没収だ!命令に逆らうやつは死刑だ!!」


 兵たちの富豪からの金を巻き上げ方は凄まじく、口上も述べずに屋敷内に乱入して、金銀財宝や高級家具を担ぎ出し、荷車に次々と載せていった。

 さらに・・・


「おっ!可愛い姉ちゃんじゃねぇか!気に入った!お前は没収だ!お前は俺の股の上に載せてやる!こっちに来い!」


「キャーーー!なんてセンスの無いさらい方!助けておっかさん!!」


 兵たちは金銀財宝だけでなく、年若い娘を公然と攫って行くなど、彼らの強行は目も当てられない有様であった。

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