第33話 沙汰を待つのみ
黄巾賊殲滅完了の報を聞いた劉備軍と朱儁軍は首都 洛陽へと向かった。
洛陽には劉備たちと同様に報を聞いた連中が集まっており、都へ凱旋しようとしていた。
「朱儁将軍。我らはここまでとなります。今までお世話になりました。」
「うむ。では城外にて沙汰を待つがよい。」
そう言って2人は別れの挨拶を済ませて、朱儁は都へと凱旋した。
凱旋できるのは朱儁軍のみ。劉備軍は城外で報告を待つこととなった。
官軍ではない軍。正式な軍ではなくボランティア軍の劉備軍は都に入ることは許されないのだ。
次々と凱旋していく官軍たちを劉備一行はただ見ていることしか出来なかった。
凱旋する武将の中には董卓、曹操といった後に歴史に名を残す英雄たちがいた。
そんな英雄たちと肩を並べることなく劉備は城外で沙汰を待つしかなった。
劉備が英雄へとなる道は果てしなく長く、そして険しい。
洛陽での勝ち戦のお祭りも終わり、時が流れた。
秋も暮れ、冬に差し掛かろうとしていたが、劉備軍には未だに沙汰が無かった。
(どうしたものか・・・)と劉備が考えていると1人の人物が劉備に話しかけた。
「そこにいるのは劉備殿ではござらぬか?」
「そうですが・・・失礼ですがどちら様でしたかな?」
「盧植将軍のところに視察しに行った、
「盧植先生の視察・・・あー思い出しました、思い出しました。お久しぶりです。」
「うむ。思い出して下さり何よりだ。して、お主ここで何をしておるのだ?」
「城外で沙汰を待っているところです。冬も近づいてきているのですが、未だ連絡が無くどうしようかと悩んでいるところです。」
劉備の返答を聞いて張均が驚きの表情を浮かべる。
「そんなばかな。もうすでに関係者一同には恩賞が与えられたはずだ。」
「えっ?そんな・・・では我々には労いの言葉もなしと言うことですか?」
張均の言葉を聞いて劉備は愕然となった。
恩賞はともかく労いの言葉もなしとは思ってもみなかったからだ。
そんな劉備に対して張均が言葉を続ける。
「いや、お主に恩賞なしと言うのは腑に落ちぬ。お主の活躍は私の耳にもよく届いていた。難敵をことごとく打ち破り、華々しい戦果を上げるお主たちの活躍をのう。」
張均は手で顎を撫でながら、劉備の活躍を思い返していた。
「うむ。やっぱり納得いかんな・・・よし。私が帝に尋ねてみることにしよう。
「本当ですか!帝に直接尋ねて頂けるのですか!」
「私は帝に用があったのでついでに尋ねておいてやろう。ではもうしばらく待っておれ。」
「ありがとうございます!」
劉備は張均に深々と頭を下げた
張均はその姿を見て頷いた後、城内へと入って行った。
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