第27話 無茶振りは良くない

「まずい・・・非常にまずいぞ・・・」


 黄河の南に位置する河南かなんにいた朱儁しゅしゅんは焦っていた。

 黄巾賊に戦を挑めど挑めど勝利を収めることが出来ずにいたからである。


(このままでは私は無能のレッテルを貼られることになる・・・なんとなせねば!!)


 悩む朱儁に一報が届いた。


「朱儁将軍!劉備軍がこちらに戻ってきております!」


「何っ!あの乞食軍団が戻ってきただと!」


「はい!各地を転々としていて、この地に戻ってきたとのこと!如何なさいますか?」


 部下の報告を聞いて朱儁は笑みを浮かばずにはいられなかった。

 劉備軍と言えば先日の潁川の戦において、500人で黄巾賊の大軍相手に特攻していった命知らずの特攻軍団である。

 今の状況を打開するのには、命知らずな彼らを利用するのがベストだと朱儁は思った。


「すぐにここに連れてくるのだ!・・・おっと丁重にもてなすのだぞ。よいな!」


「アイアイサー!!」


 朱儁は部下にそう命令し、劉備一行を出迎えるために料理と酒を準備した。



「いやーよく来てくれましたな。ささ、此方へどうぞ(^_^)ニコニコ」


 朱儁は全力の作り笑顔で劉備を出迎えた。

 劉備と関羽は素直に気持ち悪いと思ったが、張飛は単純な性格故に悪い気はしなかった。


 張飛は先日の嫌なことを忘れるため、料理を貪り、酒を浴びるように飲んだ。

 そんな張飛を義兄2人は止めなかった。

 裏があるのが見え見えだったが、張飛の気が晴れるなら致し方ないと割り切ることにした。

 そして、一夜明けた次の日、案の定、朱儁が劉備軍に無茶振りをしてきた。


「早速で申し訳ないが、お主たちにお願いしたいことがある。ここから約30里(1里=約400m)ほど離れた山に黄巾賊の大将軍『張宝ちょうほう』が陣を張っている。これが非常に目の上のたんこぶでな。お主たちにこの陣を打ち破って頂きたいのだが・・・いかがかな?」


(うわーー!超無茶振りキター!!)


 劉備たち3人はドン引いたが、断る理由がないため、無茶振りを承諾して張宝討伐に向かった。

 出陣時に朱儁がお情けとばかりに2500の兵を貸してくれたのは劉備軍にとって幸いであった。

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