第9話 桃園の誓い
劉備が関羽と張飛と会って3日が過ぎた。
3人は今、劉備の家の近くにある桃園に来ていた。
今の時期、桃の花は咲き誇っており、宴会を開く場所としてはこの上なく最上であった。
「「おおっ!なんと美しい!!」」
関羽と張飛は宴会の席を見て感嘆の声をあげた。
そして宴会の準備をしてくれた劉備の母に深々と頭を下げた。
「母上殿。我らに対してこのような場を設けて下さり、感謝の言葉もありませぬ。」
「いいえ、気にすることはありません。それよりも私がこの場にいるのもアレですので、あとは3人で楽しむとよいでしょう。」
母はそう言うと宴会の席を離れた。
劉備の母がこの場を離れると劉備、関羽、張飛の3人は宴会の席に座った。
そして席に座ると、準備していた酒の入った盃を手に取った。
「では、劉備殿。早速始めようぜ。」
「そうですね。・・・では」
3人は手に取った盃を目の前に掲げ、こう誓い合った。
「「我ら3人、兄弟の契りを結んだからには助け合い、太平の世を築くことを天に誓う!生まれた日と時は違えども、死ぬときは同じ日、同じ時を願わん!」」
そして、盃の酒を一気に飲み干した。
今ここに劉備を長兄、関羽を次兄、張飛を末弟とした3人の義兄弟が生まれた。
民のため、国のために互いに助け合うことを桃園で誓いあった。
人はこれを『桃園の誓い』と呼んだ。
「かぁーー!うめぇ!劉備の兄貴!もう一杯じゃ!」
「ええ!どんどん飲んでください!」
「兄者よ。我らは兄弟となったのだ。我らの間でかしこまった喋り方をする必要はありませぬぞ。」
「そうですね。・・・我が弟、関羽に張飛よ!今日は飲み明かすとしよう!」
「「おう!」」
劉備のたどたどしい言葉使いに3人は笑いながら酒をがぶがぶと飲んだ。
飲んで飲んで飲みまくった。
3人が馬鹿騒ぎしていると、劉備の視界にあるモノが映った。
それは遠くから自分たちに近づいてくる人だかりであった。
(ん?なんだろうあの人だかり・・・こちらに近づいているな。)
劉備だけでなく関羽も張飛も気づいた様で、3人は何事かと思った。
警戒した3人だったが、その人だかりの中からあるモノが掲げられると、その集団の正体がわかった。
掲げられたのは『劉』の文字が書かれた旗であった。
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