第10話 馬鹿騒ぎはほどほどに
『劉』の文字が書かれた旗を掲げる集団。それは、劉備が募集した義勇兵の集団であった。
宴会を開くまでの3日間、劉備は街で義勇兵募集の演説を行った。
「勇気ある若者たち!民のために共に頑張ろうぞ!」
劉備の凛々しい演説姿と人柄は街の民たちの心を動かした。
次々と義勇軍への参加者が募り、参加者たちがこの場に集まったのだ。
「劉備の旦那!随分と楽しんでますなぁ!」
『劉』の文字が書かれた旗を掲げる集団の代表らしき人物が劉備に話しかけた。
「おおっ!あなたはあの時の!」
その人物は先日、立て看板の内容を聞いて黄巾賊討伐に参加しようとしていた人物であった。
「3日ぶりかな?劉備の旦那が義勇軍を立ち上げようっていうんで、正規の軍の話を蹴ってこちらに参加することにしたんだ。」
「わざわざ蹴ってですか!」
「おうよ!正規の軍で働くより、あんたの軍で働く方が面白そうだったんでな!そうだろみんな!」
「「おう!」」
男の周囲にいる人物をよく見ると、同様に黄巾賊討伐に参加しようとしていた人物たちであった。
彼らを見て喜ぶ劉備であったが一つ疑問が浮かんだ。
「参加する者たちは1週間後に私の家の裏の広場に来てくれ!」
劉備はこう演説していたのだが、彼らは演説をして3日後の桃園の場に来たのだ。
「1週間後と言ったはずですが・・・皆さんは何故この場に来られたのですか?」
「劉備の旦那たちがここで酒を飲んでるって話を張世平殿から聞きましてな、酒をご馳走になろうと思い来たしだでさぁ。」
「ちゃっかりしてますな。」
男の言葉を聞いて劉備は苦笑いした。
「しかし、いくらなんでもこの人数分の酒は用意していませんよ。」
「旦那ぁ。安心してくだせぇ。何も全てご馳走になろうとは思っていませんぜ。」
男がそう言うと、集団の奥を指さした。
集団の奥には大量の酒と食べ物を積んだ荷車があった。
「おおっ!こいつは凄ぇぜ!」
酒が大好き張飛は歓声を上げた。
「ってなわけで旦那!あっしたちもこの宴会に参加させて頂きやすぜ!」
劉備、関羽、張飛の3人は互いに顔を見合わせ頷いた。
「よし!では皆さん!今日は飲んで飲んで飲みまくりましょう!」
「「おう!」」
劉備の一言で場が大いに盛り上がった。
「飲め!飲め!お前らぁ!」
張飛は義勇兵たちの杯にあふれんばかりの酒をついで回った。
「張飛!あんまりやり過ぎるなよ!」
どんちゃん騒ぎをする様子を見て関羽はこう思った。
(まさかこうも早くこれほどの人が集まるとは・・・やはりこの男を主にして正解であったな。)
劉備の人徳を目の当たりにして自分の選択に間違いがないことを確認し、関羽も馬鹿騒ぎに参加するのであった。
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