第5話 帝王の家系は帝王学が好き
「母上。ただいま戻りました。」
劉備は息も切れ切れ、厳格な母に丁寧な帰宅の挨拶をした。
「ご苦労でした玄徳。それよりも何かあったのですか?随分と息を切らしているようですけど・・・。」
「ええ、実はですね。かくかくしかじか、チョメチョメ、〇〇、××、エヘンエヘンってな出来事がありましたので急ぎ戻ってきた次第です。」
劉備は事の次第を母に説明した。
劉備の話を聞き終わると母の体がプルプルと震えだした。
その様子を見た劉備が心配して声をかけた。
「母上どうかなさいましたか?」
「・・・玄徳よ。何故黄巾党の討伐に参加しなかったのですか?」
「えっ?それは・・・その・・・母上を1人にしたくなかったからです。私が黄巾党の討伐に参加してしまえば母は一人っきりになってしまいます。それでは母が困ると思い参加を止めました。以上です。」
劉備の話を聞くと劉備の母のこめかみに血管が浮かび上がった。
それは母がブチ切れた時にいつも起こる現象であった。
それを察した劉備が一歩間を空けようとしたが、それよりも先に母が劉備に対して怒鳴った。
「この愚か者がぁ!!」
「ひ、ひぃぃーー!!」
劉備は母がブチ切れたのを見て情けない声をあげた。
「は、母上何故そのように怒ってらっしゃるのですか?」
「お前はこの母の怒りの原因がわからぬのか!!」
劉備の母は息子の玄徳に対し手を上げた。
パシッ!っという音が部屋に響いた。母の渾身の平手打ちが劉備の頬に炸裂したのだ。
呆然としている劉備の頬にまたもは母の平手打ちが炸裂した。
「ちょ、痛いです母上!何故私を叩くのですか!」
「この愚か者!愚か者!」
劉備の問いに答えずに母は目に涙を浮かべて劉備を何度も何度も叩いた。
劉備の頬が真っ赤に染まるとようやく母はビンタを止めた。
「玄徳よ。母は今非常に悲しんでいます。何故母が悲しんでいるか分かりますか?」
「・・・わかりません。(だからさっきからわからないって言ってんじゃん!)」
「そうですか・・・。玄徳よ。母は息子の育て方を誤りました。帝王の血を引く子の育て方を誤りました。」
「・・・えっ?」
母の訳の分からない謎の帝王発言により、劉備はまたもや情けない声をあげた。
そんな劉備に対して母は話を続けた。
「劉備よ。お前もうすうすは気付いていたかもしれませんが、我が家はただの筵売りの家系ではありません。我が家は
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